量子技術とは ミクロの物理法則を利用
きょうのことば
▼量子技術 原子レベル以下のミクロの世界で成り立つ「量子力学」という特殊な物理法則を利用し、通信や計算などを行う技術のこと。量子とは非常に小さな物質やエネルギーの単位のことで、代表的な例として電子や光の最小単位である光子がある。量子は常識では理解できない奇妙な振る舞いを見せ、その性質を使うことで画期的な成果を達成できると期待されている。

量子コンピューターは現在、最も注目されるテクノロジーの1つだ。米グーグルが2019年、最先端のスーパーコンピューターでも解くのに1万年かかるとされる問題を3分20秒で解き、驚きをよんだ。翌年には中国科学技術大学も同様の成果を発表し、開発競争が激化している。他人に盗聴される恐れのない暗号通信は実用段階に入り、全地球測位システム(GPS)を使わずとも自分の位置が分かるセンサーなども開発が進む。
各国は研究費の投入に加え、拠点形成や人材育成でも後押しする。米は全米科学財団(NSF)が大手IT企業と協力し、中高生の段階から量子技術に触れる人材「量子ネーティブ」の育成を開始。欧州では英国やオランダが国際的な研究拠点を形成し、民間投資を呼び込んでいる。中国も莫大な資金をつぎ込み、巨大な研究拠点の整備などを進めている。