コロナ第3波、入院高齢者の死亡割合増加

国立国際医療研究センターは2日、国内の新型コロナウイルス感染症の「第3波」で入院した患者の分析結果を公表した。重症で入院した高齢者の死亡割合が第2波より増えていた。入院規定の見直しを受け、基礎疾患を持ちもともと死亡リスクが高い人の割合が増えた可能性があるという。
2020年1月~12月31日までに入院した患者のうちデータベースに登録された人を対象にした。第3波の一部にあたる11~12月の患者約7000人について、5月までの第1波の約5000人、6~10月の第2波の約1万1000人と比べた。
第3波は重症で入院した60歳以上の患者の死亡割合が第2波より高かった。80代では約20%、90代以上では約30%が死亡した。ただ第1波と比べるとすべての年代で減っていた。
政府は10月、新型コロナのすべての感染者を入院させられるとする規定を見直し、入院対象を重症化リスクの高い高齢者らに絞った。同センターは重症で入院する患者のうち、リスクの高い人が増えて死亡割合の増加につながった可能性があるとみている。ただ増加の原因はさらなる解析が必要とした。
治療薬についてはステロイドの一種「デキサメタゾン」などの投与が一般的になってきた。第3波では、重症で入院し薬の投与を受けた人の約80%にステロイドが使われた。第1波の約30%、第2波の約70%から増えた。世界保健機関(WHO)が9月、重症患者にステロイド投与を推奨したのを受け、多くの施設で使うようになったためとみられる。
同センターの大曲貴夫医師は「高齢者や基礎疾患を持つ人の死亡率は高いままだ」と指摘した。「早く受診すれば入院時の重症度を低くできる。目詰まりを防いで早く入院できるようにするなど医療体制の改善が重要だ」と訴えた。