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りそな銀、電子部品商社を買収 事業承継ファンドで第1号

りそな銀行は電子部品商社の買収を発表した

りそな銀行は1日、中小企業向けの事業承継ファンドを通じて電子部品商社の扶桑商事(東京・千代田)を買収したと発表した。銀行が事業会社の株式を100%取得し買収するのは珍しい。2019年秋の規制緩和で銀行による事業承継がしやすくなったことに対応。活発化する事業承継の市場に銀行のリスクマネーが流入する契機になりそうだ。

りそな銀行が出資する「りそな企業投資」のファンドの第1号案件。扶桑商事の株式を保有する創業家系の資産管理会社から100%取得した。買収額は非公表としている。創業者の高齢化を見据えた事業承継で、現経営体制は変更しない。経営方針も引き継ぎ、人員の削減もしない。りそなからは非常勤の取締役を2人派遣する。

中小企業はカリスマ創業者の引退に伴って経営が不安定になるケースも多い。りそなは企業統治や中長期の経営計画の策定などで支援するほか、次世代の後継者の育成にも取り組む。資金回収(エグジット)は①将来の経営陣への売却②企業文化や方向性が合う他社への売却③新規株式公開(IPO)――の3つを想定する。今回の案件では①を念頭に進める。

扶桑商事は高速通信規格(5G)向けや電気自動車(EV)向けの電子部品の卸売りを手掛けており、部品メーカーや販売先との結びつきが強いという。事業の成長性と安定性が見込め、100%株式を取得してもリスクが比較的少ないと判断した。

一方、りそなはファンドとしての投資実績はゼロで、経営支援の実力は未知数だ。ただ、扶桑商事はりそな銀行を約50年前からメインバンクとしており「長年の信頼感から運命共同体になることを決めた」(扶桑商事幹部)。

ファンドはりそな銀行がほぼ単体で100億円を出資する。事業承継を目的としており、売却に伴うリターンを主眼に置かない。外部の投資家が入るファンドの場合、数年後のエグジットに向けて企業価値を最大化するため、長期的な経営をめざす企業と目線が合わないケースがある。

りそなはエグジット後も融資先として取引を続けたい考えで、長期目線の経営ができるメリットを訴える。年2~3件のペースで投資案件をまとめたい考え。既に取引先企業から200件超の相談があるという。中小企業基盤整備機構によると、全国の事業引継ぎ支援センターへの相談数はこの5年で2.4倍に増え、過去最高を更新し続けている。りそなは案件を見極めながら事業承継ニーズを取り込む考えだ。

背景には規制緩和がある。通常、銀行による出資は議決権ベースで原則5%までだが、19年秋に事業承継が目的の場合は投資子会社を通じて5年まで認められた。さらに秋には10年まで延長される見通しだ。後継者を見つけるまでの猶予期間が伸びるため、銀行による事業承継が手掛けやすくなる。

銀行も融資と預金の利ざやでは稼ぎにくくなっている。自らリスクマネーを供給することで、経営者の高齢化という社会問題に対応するほか、銀行のビジネスモデルの多角化をめざす意味合いもある。

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