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5大銀純利益2.1倍 4~6月、コロナ損失減も本業伸びず

(更新)

国内大手銀行5グループの2021年4~6月期決算が2日、出そろった。合計の連結純利益は前年同期比2・1倍の9218億円だった。新型コロナウイルス禍に伴う取引先の経営悪化に備える費用(損失)が減ったためで、11年4~6月期以来、10年ぶりの高水準となった。業績悪化には歯止めがかかったが、合計の本業のもうけは減っており、費用の減少も企業活動の回復が二極化する「K字型」を映す結果になった。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFG三井住友トラスト・ホールディングス(HD)、りそなHDの5グループの決算が出そろった。2日発表した三菱UFJFGは2倍超の3830億円になるなど、3メガバンクの純利益はそろって倍以上に膨らんだ。コロナで対面営業を自粛した前年の反動もあるが、特に影響が大きかったのが貸し倒れに備えた「与信費用」の減少だ。

4~6月期には、融資の焦げ付きに備えて積んでいた与信費用が取引先の業績回復などで不要になり戻ってくる「戻り益」が5グループ傘下の銀行合算で283億円発生した。コロナの感染が広がった前年同期は約1700億円を費用として計上しており、この影響がなくなったことで全体の利益を押し上げた。

与信費用の計上手法が異なるものの、ワクチン接種で先行した米国の大手銀行では、20年10~12月期決算ですでに戻り益が出ていた。JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど主要6行合算で20億ドル(約2200億円)を計上しており、好決算を支えた。

邦銀でもようやくコロナ損失への備えである与信費用で戻り益が発生したことは、日本でも経済正常化に向けた見通しに明るい兆しが出てきたことを示す。ただ、与信費用の減少には各行で濃淡がある。中小企業向けの貸出金が多いりそなでは、傘下行合算の与信費用は約5割減ったものの、戻り益が出るまでには至っていない。

FG全体で26億円の戻り益を計上したみずほFGも、個人・中小企業向けでは約100億円を費用計上している。引当金の戻し入れが発生したのは海外や大企業向けの取引に偏っているためだ。世界的な経済正常化の恩恵を享受する製造業などの大企業と、サービス業が多い内需の中小企業で先行きに対する見方は分かれている。

銀行決算の純利益が与信費用の増減で大きく振れるのは邦銀に限らないが、実力ベースの稼ぐ力の回復度合いはどうか。本業のもうけを示す業務純益をみると、三井住友FGと三井住友トラストHDが増益を確保。前年同期に米市場部門の好調で業務純益が膨らんだ反動が出た三菱UFJFGやみずほFG、債券の売却損が響いたりそなHDが減益となり明暗が分かれた。

りそな以外の4グループはいずれも「コロナ禍前」の19年4~6月期の業務純益を上回るかほぼ同水準となった。ピークは越えたものの、引き続き企業の資金需要は強く、貸し出し増加に伴うプラスと海外市場部門の減速に伴うマイナスが綱引きする構図だ。みずほも運用商品販売など顧客部門は好調で、市場部門を除けば4~6月期としては現在のカンパニー制を導入した16年4~6月期以降、最高だった。

先行きは予断を許さない。政府は7月30日、緊急事態宣言の延長と対象拡大を決定。感染力の強いインド型(デルタ型)の流行で1日あたりの国内の新規感染者数は1万人を超える日が続く。日本国内でもワクチン接種が進むものの、経済活動の再開には停滞懸念が強まっている。

こうした状況を踏まえ、4~6月期に与信費用の戻り益を計上した三井住友FGは「コロナの影響が不透明なため、現時点で(22年3月期通期で3000億円を見込んでいる与信費用の)数字は見直さない」としている。コロナ禍が新たな段階に入るなか、与信費用の減少傾向には不透明感が漂う。

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