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宅配大手2社、21年3月予想引き上げ 通販需要で採算改善

ヤマトホールディングス(HD)とSGホールディングスの宅配大手2社は29日、2021年3月期の業績予想をそろって上方修正した。新型コロナウイルスが流行してネット通販の宅配が伸びているのに加え、両社とも配送体制の見直し効果も表れ売上高原価率が改善している。通販の「特需」は2年目を迎え、今後は配送効率のいっそうの改善が焦点になる。

ヤマトHDは売上高を前期比3%増の1兆6800億円(従来予想は1兆6460億円)、純利益は93%増の430億円(350億円)に引き上げた。期末配当も普通配のみ19円(年間配当は35円、前期末は記念配10円込み26円)と計画より3円増やす。

一方のSGHDは売上高が8%増の1兆2700億円(1兆2480億円)、純利益は49%増の705億円(675億円)と過去最高を見込んでいる。ヤマトHDと同様に期末配当を1円引き上げ、16円(昨秋に1株を2株に分割したのを加味すると前期末は実質11円)にすると発表した。

両社ともネット通販の宅配の伸びに加え20年末には、帰省を自粛した人などのギフト配送が膨らんだ。29日発表した2020年4~12月期連結決算では、ヤマトホールディングスは純利益が前年同期比81%増の568億円。SGホールディングスの純利益は66%増の631億円で、いずれも過去最高だ。

ネット通販の荷物は配送費が低いとみられヤマトHDは宅配便の単価が706円と3%下がったものの、取り扱い個数は約16億個と15%増えて補った。売上高にあたる営業収益は3%増の1兆2956億円。SGHDでは衣料品など小売り関連企業の荷動きが増えた。航空貨物や海上コンテナ輸送の運賃が上がったことも貢献した。

さらに両社では都市間を結ぶ幹線輸送のトラックで積載効率を上げた効果なども出ている。ヤマトHDは売上高営業原価率が89.3%と前年同期より3ポイント低下した。コロナ禍前の18年3月期から人手不足に対応して従業員を2万人増員。拡大した配送力に貨物数が追いつかず、原価率が高止まりしていた。そこで需要予測を徹底してスタッフの配置を効率化、企業物流や引っ越しを担うグループ会社も含めてトラックの相乗りも徹底した。

SGHDは宅配貨物の採算を重視して受注を抑えるなどしてきた効果もあって原価率は同様に87.6%と2ポイント下がった。

ただコロナ禍の「新常態」が2年目となる22年3月期に向け、利益成長のハードルは上がる。「ワクチンの接種が進んで旅行などのコト消費が盛り返せば、ネット通販などの貨物需要が減る懸念はある」(JPモルガン証券の姫野良太氏)。こうした見方から両社の株価は高値圏でもみあいが続く。

ヤマトHDは法人客向けの営業を強化して通販の伸び悩みを補う構え。SGHDも東京都内に新設した大型物流拠点をフル稼働させて、配送体制の見直しを急ぐ。好況の裏側で両社の緊張感は高まっている。(松川文平)

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