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フリマアプリに配送料引き上げの波 賢い使い方を探る

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フリマアプリ大手のメルカリが、6月16日から配送料の引き上げを実施すると発表した。物価上昇などを受けて配送コストが増加していることに対応した形だ。世界各国でインフレが加速し身近なモノの値段が上がる中、新品と比較した割安感を訴求する中古品にもインフレの影響が及んでいる。物価上昇に対応して中古品売買サイトと上手に付き合う方法を探った。

「少額出品者には大打撃。売却益がなくなってボランティアに近くなってしまう」。メルカリの配送料の引き上げを知った東京都在住の30代女性ユーザーは驚きの声を上げる。「使えるものを捨てるのはもったいない」と家の中の不用品を販売していたが、今後はリサイクルショップへの持ち込みや廃棄処分も考えたいと続ける。

メルカリが16日からの値上げ対象とするのは、匿名で配送ができるメルカリ独自の配送サービス「メルカリ便」で、価格を改定するのは2020年10月以来3回目。特に低価格帯の上昇率が高い。

例えば、ヤマト運輸と連携する「らくらくメルカリ便」を使って、自宅のポストで受け取れる小型荷物「ネコポス」で配送する場合、配送料は従来の175円から210円に上がる。最低出品価格の300円で出品すると、メルカリ側へ支払う手数料は10%の30円。残りの270円から配送料の210円を差し引くと、利益は60円となる。実際には緩衝材や梱包資材も自前で用意することを考えると、「薄利多売の出品者にとっては厳しい」というユーザーの声も聞かれる。

配送料の引き上げに動くフリマアプリは、メルカリだけではない。楽天グループのフリマアプリ「楽天ラクマ」は2021年11月、18年の同業「フリル」との統合以降で2度目となる引き上げを実施した。配送料のさらなる改定については、「状況を見て検討したい」(楽天グループ)としている。Zホールディングス傘下のヤフーのPayPayフリマは「現時点では予定していない」(ヤフー)とのコメントにとどめる。

中古品市場は拡大の見通し

配送料引き上げが続く一方で、新型コロナウイルス禍の巣ごもり消費などを背景に中古品の市場は拡大している。業界紙の「リサイクル通信」によると、中古品の国内市場規模は20年に2兆4000億円。19年に比べて2.5%増えた。25年には約1.5倍の約3兆5000億円に膨らむと予測する。

21年10月にメルカリが行った発表によると、流通取引総額の拡大に伴って、国内の年間宅配便取扱個数(50億個)の5~10%をメルカリの荷物が占めていると推定されている。コンビニエンスストア発送の宅配便に限ると、その約8割がメルカリに出品された中古品の発送と見られるという。

ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんは、配送料の引き上げが相次いでも、フリマアプリの利用は拡大し続けるとみる。「配送料が上がって利幅が減っても、ただで捨ててしまうよりは少しでもお金になればいいと考える売り手は多いはずだ。買い手の側でも、中古品には低価格で消費税がかからないというメリットがあるので、新品の価格が軒並み上昇する中、フリマアプリでの中古品購入を選択する人は今後も増えるだろう」(丸山さん)

楽天ラクマが5月にユーザー向けに実施したアンケートによると、フリマアプリを使うことで家計にどのような影響があるか答える質問(単一回答)で、「安く購入できるため、節約につながっている」との回答が半数を占めた。さらに、「出品で得られた売り上げが家計の支えになっている」との回答は約20%に上った。

ニーズごとにサイトを使い分ける

では、どのように利用する中古品売買市場を選んだり、配送コストを抑えたりすべきだろうか。ブログ塾などを手掛け、フリマアプリ活用法の著作がある中野有紀子さんは、「どんなジャンルでも平均的に売りやすい」というメルカリ、「ネットショッピングに慣れたユーザー中心」の楽天ラクマ、「ガジェット系に強い印象」のPayPayというように、アプリごとに特色があると話す。各アプリのユーザーや売れやすい商品、販売手数料などのコストを考慮しながら、サイトを使い分けるのは有効だと語る。

例えば楽天グループによれば、楽天ラクマで4~5月で特に売り上げが増えた商品カテゴリーは「食品」だという。PayPayフリマは、2月に初回販売手数料を無料に変更。「2回目以降も業界最安値の販売手数料」(ヤフー)を維持している。

生活総合情報サイトのAll aboutで「フリマアプリ・ネットオークション」ガイドを務める川崎さちえさん。川崎さんが出品者のコスト引き下げ策として提案するのは、「まとめ売り」だ。「これまで個別で出品していた商品をまとめて出品すれば、配送料は1回分で済む」という。「同じシリーズやブランドをそろえるのが手。中でも、宅配便サイズの商品の場合はまとめた方がお得」(川崎さん)

メルカリでの中古品売買のノウハウを教える講座を手掛ける物販コンサルタントの宇田川まなみさんは、出品者が取るべき対策として次のような点を指摘する。「メルカリの配送料が改定される前は『この金額は期間限定』とアピールして販売する。改定後は中古品の売価を引き上げてもよいが、プロフィルや商品の説明文に『6月16日からの配送料改定に対応して引き上げた』ときちんとアナウンスすることが求められる」。また小型荷物のネコポスは、郵便局またはポストから発送できる「クリックポスト」を利用することで送料を抑えられるという。

前出の中野さんは、中古品の買い手が注意すべきポイントとして次のような点を挙げる。「フリマアプリには信頼できないショップもあるため、心配ならヤフーショッピングや楽天市場など、運営者の所在がはっきりしていて取引実績の多いお得なサイトで、ポイ活(ポイント活動)などを組み入れながら中古品を購入したい」

さらに中野さんは、「安定した需要がある中古品はインフレで値上がりしているので、使った後に転売して売却益を得られることもある」と語る。掘り出し物を探すために、リサイクルショップやオークションを活用するのも一考に値しそうだ。

スマートフォンひとつで誰でも簡単に中古品を売買できる時代。物価上昇に終着点が見えない中、ユーザーや売れ筋の中古品、販売手数料をはじめとしたコストなど、アプリごとの特色を捉えて上手に中古品を取引したい。

(井沢ひとみ)

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