東芝に臨時総会請求相次ぐ 米系株主など 企業統治や成長戦略を問題視
東芝の主要株主が臨時株主総会の開催を相次ぎ請求している。25日までに株主2社が東芝のガバナンス(企業統治)や成長戦略の大幅変更などを問題視し、総会開催を請求した。7月の定時株主総会や11月改定の中期経営計画を懸念材料に挙げており、東芝の対応が注目される。
臨時株主総会を求めているのは筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントと、米運用会社ファラロン・キャピタル系のチヌーク・ホールディングスの2社。
25日に臨時総会の開催を請求したファラロンは、東芝が11月に改定した中期経営計画を問題視している。2年前の公表内容から「大きく変わるのに、合理的な説明がない」と指摘。当初の「自律的な成長と小規模なM&A(合併・買収)」から、M&Aなどで1兆円規模の大型投資へ踏み切る戦略変更を懸念している。総会で株主の意思を確認したいとしている。
東芝は同日、「請求内容を慎重に検討の上、決定次第速やかに開示する」とコメントした。
エフィッシモは17日に臨時総会の開催を請求した。疑問視するのが7月の定時株主総会の議決権行使の結果だ。集計作業した三井住友信託銀行が一部の議決権行使書を慣例に沿って無効にしていた。
同行が再発防止策を発表した今月17日、エフィッシモは「議決権行使を巡って不当な圧力もあるなど、総会の透明性を担保する」必要があると指摘。この件を調査する弁護士3人の選任を求める議案を提案する。
東芝が総会の開催請求を受けてから8週間以内に総会開催の通知などを出さなければ、株主は裁判所の許可を得て総会を開くことができる。総会を開く場合、議決権を行使できる株主を決める「基準日」を設ける必要がある。
東芝の7月の株主総会では企業統治などを巡り、エフィッシモから役員選任の株主提案を出された。株主提案は否決されたが、会社提案の車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)の賛成比率は57.20%(再集計後)、反対比率は20.13%に上った。