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「物価目標達成まで3年以上」異例のパウエル発言、株反発要因に

議会公聴会2日目に臨んだパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長から大胆な発言が飛び出した。

「FRBのインフレ目標達成には3年以上かかるかもしれない」

これまでより踏み込み、具体的な年数を明示した見解だ。米連邦公開市場委員会(FOMC)では参加者が予測する将来の金利水準をまとめて「ドットチャート」として明示してきた。最新版(2020年12月時点)でも、多数が23年までゼロ金利継続の予測を示していた。しかし、パウエル議長は「あくまで参加者の個人的見解であり、政策を明示するものではない」とくぎをさしてきた。

ところが、今回は、FRB議長による議会公聴会での公式発言だ。

「3年以上ゼロ金利継続」に正式なお墨付きを与えたかのごとき効果がある。

しかも、注目の米10年債利回りは、寄り付きでいきなり1.43%の高値をつけたあと1.37%まで急落。結局1.39%で引けたが、ほぼ終日下げ基調であった。

良い金利高から悪い金利高への「分水嶺」と見られる1.5%を目前に、債券市場の値動きも荒い。短期投機筋の草刈り場と化している。

「長期金利急騰」がどこまで本当に「経済回復期待」を映す現象なのか。投機マネーにより名目金利が「誇大表示」されている面も否定できない。

市場の支えは、パウエルFRB議長とイエレン財務長官の連携プレーだ。インフレ目標をオーバーシュートしても金融緩和は継続。高圧経済の過熱リスクがあっても財政政策は大胆に実行(Act Big!)。金融緩和の限界は積極財政で補うとのポリシーミックス(政策の組み合わせ)は心地よい市場環境を醸成している。過熱リスクに対しても、制御可能であることを「そうなれば、それなりの政策ツールがある」と両者全く同じ英語で表現している。示し合わせたかのごとき発言の一致。市場では、息の合ったコンビならではの「神対応」と評価される。

ナスダック異変の不安材料は残るが、その正体は、セクターローテーションが発する異音のようである。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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