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英株投信、6年ぶり流入額も「英国」は蚊帳の外

海外投信事情

2020年の英投資信託市場では株式ファンドが2年ぶりに資金流入超に転じ、買越額は14年以来6年ぶりの高水準となった。投資地域別でけん引したのは「グローバル」や「北米」で、大幅な資金流出超に見舞われた「英国」は蚊帳の外に置かれた。「英国」の分類別でとりわけ売越額が大きかったのが、主に配当収入の獲得を目的として運用される「インカムファンド」だった。

株式ファンドに1.5兆円の資金が流入

英国投資協会(IA)によると、20年の株式ファンドは104億1000万ポンド(約1兆5300億円)の資金流入超となった。19年(28億8800万ポンドの流出超)から買い越しに転じ、14年(106億1300万ポンドの流入超)以来の高水準だった。大幅な資金流入超の主因は「グローバル」の買い越しだ。買越額は60億7300万ポンドと19年に比べ3.4倍となった。「北米」が19年比88%増の25億2100万ポンドで続いた。

一方、「英国」は27億8800万ポンドの売り越しとなり、売越額は19年に比べ2.2倍に膨らんだ。14年は約41億ポンドの買い越しと、全体の流入超額の約4割を占めていた「英国」だが、20年は全体の足を引っ張る筆頭に躍り出た格好だ。

「英国」は売り越し、インカムファンドの流出超目立つ

「英国」の詳細をみると、「インカムファンド」の売越額が22億5700万ポンドに達した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う業績の先行き不透明感などを受けて、石油関連や金融など英主力企業が相次いで配当の減額や見送りを決めたことが背景にある。英リンク・グループによると、英企業の3分の2が20年4~6月期以降に配当の停止・削減を決めた。20年通年の英企業の配当総額(特別配当含む)は前年比44%減の619億ポンドと11年以来の低水準になった。

個人投資家は「配当」という安定収入が見込みにくくなり、投資妙味が乏しくなった「インカムファンド」を解約し、より運用益が期待できるファンドに資金を振り向けたようだ。

インカム含む英国株ファンドの復活はあるか

リンク・グループによると、21年の英企業の配当総額(特別配当含む)はベストケースのシナリオで10%増加すると予想している。実際、20年10~12月期に入り配当再開に踏み切る企業も出てきた。不動産投資信託(REIT)のブリティッシュ・ランドや住宅建設のバラット・ディベロップメンツのほか、資源大手の一角が配当再開を公表した。

コロナ禍を受けたデジタル社会の進展期待などを背景に20年半ば以降はハイテクなどのグロース(成長)株が相場上昇をけん引し、投信市場でも関連ファンドが人気化した。一方で、英国株で運用するファンドは主力株に通信や金融、不動産、資源といったバリュー(割安)株が相対的に多いとされ、敬遠されやすかったという事情がある。

世界経済の先行きはいまだに不透明感が漂うが、世界各国でコロナワクチンの接種が始まり、21年内には経済活動が正常化するとの見方がある。そうなればバリュー株にも物色の矛先が向かう可能性もあり、景気の回復力を測る物差しの一つとしても英国株ファンドへの資金フローの状況は注目される。

(QUICKリサーチ本部 荒木朋)

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