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年末年始商戦が本格化 リベンジ消費の行方は

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新型コロナウイルス禍2年目の年末年始が近づいてきた。百貨店では高級品の売り上げが好調で、年末商戦や福袋販売に向けて電子商取引(EC)を強化する。日銀は、外出自粛などで消費が抑制されたことでもたらされた「強制貯蓄」が積み上がっていると試算する。リベンジ消費に期待がかかる一方、新たな変異ウイルス「オミクロン型」が確認されたこともあり感染再拡大リスクもくすぶる。百貨店各社の消費喚起戦略と消費動向を探った。

福袋のEC販売が好調に推移

「インスタライブのコーディネート紹介を見て、福袋の購入を決めた。完売までの数十分以内に滑り込めてよかった」。京都府で自営業を営む30代の女性は、コートやTシャツ、バッグなどが入ったお目当ての福袋をインターネットで購入することができて安堵の表情だ。

内閣府が発表した10月の景気ウオッチャー調査(街角景気)は、3カ月前と比べた足元の景気実態を示す現状判断指数(DI、季節調整値)が7年9カ月ぶりの高水準となった。緊急事態宣言の解除やコロナ新規感染者数の減少により消費回復の兆しが見え始めている。

年末年始商戦のかき入れ時を控え、「数年ぶりに明るい年末年始を過ごせる」(三越伊勢丹広報)と期待するのは百貨店だ。初売りの売り上げ見通しについて三越伊勢丹は、コロナ禍や消費増税前の2018年度並みの水準を見込んでいる。

松屋では年末年始の福袋販売で、アフタヌーンティーのペアチケットとワンピース2着がセットになった「アフタヌーンティー福袋」(1万6500円)や、スーツやレストランのペア食事券など銀座の楽しみを詰め込んだ「俺たちの銀ブラ福袋」(5万5000円)などを展開する。「感染者が減少する中、人の移動の活発化に期待した福袋を作成している」(松屋)

一方で、自宅時間を充実させたいというニーズも依然根強い。巣ごもりニーズに対応するため、松屋はサウナ本体とシャンプーなどをセットにした福袋(50万6000円)を用意した。そごう・西武の西武池袋本店では、オンラインレッスンを受けながらリラックスできる装置を入れた「マインドフルネス瞑想(めいそう)福袋」(495万円)を販売する。いずれも高額だが、百貨店各社の既存店売上高は、富裕層を中心とした高付加価値商品の販売がけん引しており、福袋についても単価向上が見込まれるという。各社が注力するEC販売は軒並み前年を上回って推移。11月17日から福袋の初のEC販売を始めた松屋では、出だしが好調で準備個数の2割強が売れたという。

特別な日のための高級食品が人気

年末年始は、クリスマスケーキやおせちを自宅で豪華に楽しむ人が増えると見込まれることから、そごう・西武は予約獲得に向けたプロモーションを強化。西武池袋本店では「クリスマスケーキの予約が10月末で前年の約2倍、おせちの予約は11月8日時点で前年同時期の約1.5倍で推移しており、単価の高い商品が好調」(そごう・西武)という。クリスマスプレゼントはコロナ禍で手指消毒が徹底されていることから「リングからネックレスへと関心が移っている」といい、宝飾品のEC販売は足元でコロナ禍前の19年を上回って推移する。

三越伊勢丹でも、けん引するのはラグジュアリーブランドや宝飾時計などの高級品。なかでも「ブルゾンやコートといった重衣料は、中間所得層による購買も売り上げの底上げに貢献した」(三越伊勢丹)といい、ファッション関連商品は前年比2割増の伸びをみせる(11月14日時点)。

冬のボーナス増がリベンジ消費を後押しか

年末年始の消費マインドの鍵を握るのは、コロナ禍で消費機会が失われたことによって生じた家計の「強制貯蓄」や冬のボーナスの行方だ。日銀の試算では、強制貯蓄は20年の1年間で20兆円に達した。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの21年冬の民間企業のボーナス予測によると、全労働者の1人当たり支給額は前年比で1.0%の増加を見込む。1人当たり支給額に支給対象となる働き手の数を掛け合わせたボーナスの支給総額は16.5兆円(前年比2.3%増)。ボーナスが支給される労働者数の増加が寄与し、「感染収束後のリベンジ消費を押し上げる効果がある」という。

一方、ロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)の調査では、ボーナスの使い道は「貯金・預金」が最多で約4割を占め、衣服や食品(お取り寄せなど特別なもの)はそれぞれ5%にも満たない。

「現在の感染が抑えられた状況が続くのであれば、モノよりもこれまで控えていた帰省などの旅行やレジャー、外食などのコト(サービス)消費が伸びる」(ニッセイ基礎研究所の久我尚子上級研究員)との見方も。コロナ禍2年目の年末年始商戦の行方の鍵を握るのは、やはりコロナ感染状況といえそうだ。

(井沢ひとみ)

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