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億万長者もNISA恒久化を歓迎 投信から高配当株に転換

スゴ腕投資家のNISA活用法(1)

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2024年から少額投資非課税制度(NISA)が大きく変わる。目玉は「恒久化」と「非課税投資枠の拡大」だ。スゴ腕投資家は現行のNISAと24年以降の新NISAをどのように使いこなす予定なのか。ここでは、スゴ腕3人の23年と24年以降のNISA活用術を紹介していく。1人目は、株式投資で金融資産1億円をつくり、世界30カ国の株や不動産投資信託(REIT)など幅広く運用する桶井道さん(おけいどん、ハンドルネーム)だ。

「非課税期間の恒久化は大きなサプライズ。成長投資枠の1200万円(生涯投資枠)までは、株式の配当金が生涯にわたって非課税になる。この点は、配当株投資家にとっては大変ありがたい」

こう語るのは、株式投資で金融資産1億円をつくり、2020年に早期退職を達成した桶井道さん。高配当株投資を得意とするこのスゴ腕は、24年から始まる新しいNISAについて、「5年縛り」がなくなった点を「ゲームチェンジャー」と高く評価する。

桶井道さんは現行のNISA制度でつみたてNISAを利用してきた。一般NISAの場合、非課税期間の5年を過ぎると、課税口座への払い出しか、翌年のNISA枠を使用して資産を移管することで、さらに5年間非課税で保有する「ロールオーバー」の選択が迫られる。

「5年後に必ずしも評価益が出ているとは限らない。ロールオーバーしてもそれは同じ。もしも含み損を抱えていたら損益通算は不可能で、非課税期間の満了直前で金融ショックやハードリセッションが来て株価が暴落したら目も当てられない」(桶井道さん)

一方のつみたてNISAは非課税期間が20年と長期運用が可能だ。おけいどんさんは課税口座で、日本と米国を中心に世界30カ国の高配当・増配の個別株を多く持ち、リスクを取っている。つみたてNISAでは「ディフェンシブな商品で時間分散を目指したい」として、バランス型投資信託の「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」に毎月約3万3000円ずつ投資している。

出口戦略で自分年金づくり

24年からの新NISAでは、つみたてNISAを引き継ぐ「つみたて投資枠」と一般NISAを引き継ぐ「成長投資枠」の併用が可能となる。桶井道さんは、つみたて投資枠では米S&P500種株価指数に連動する投信に毎月投資することで資産の増加を狙う。

さらに、老後は投信を早めに売却して高配当株を購入。配当金を生活費に充てる計画だ。「高齢になると投資判断が鈍り、正確な投資判断ができなくなる上、金融ショックが起きた場合に取り崩すのは不安。そのため高配当株で自分年金づくりをするという出口戦略まで考えている」

成長投資枠では、日本の大型の高配当株10〜20銘柄に分散投資して、配当金の最大化を目指す予定だ。「10銘柄を均等に持てば、1銘柄が暴落して株価が半分になろうと、ポートフォリオ全体から見れば5%のダメージにすぎない。これを20銘柄にすれば、同2.5%まで抑えられる」

有望視する銘柄の1つは東京海上ホールディングスだ。「過去5年のチャートを見るときれいな右肩上がりで、業績拡大の実績が示されている。特別配当を含めると減配したが、普通配当で見ると配当が成長しており、評価できる」(桶井道さん)

また、2019年3月期まで10期連続増配を記録したオリックスは、「その後、一旦増配をストップするも一時的に配当性向を引き上げることで減配しなかった。前期比同額を維持した株主還元への強い姿勢を好意的に受け止めている」。中期的な利益成長にも期待を寄せる。

大型高配当株を選好するのは、ボラティリティー(変動率)の低さや経営の安定さ、流動性の高さなどを評価してのこと。「NISA改正で投資期間と非課税期間が恒久化されるからには、出口戦略まで考えて投資するのが理想。老後に取り崩しは難しい」とみる。

(井沢ひとみ)

[日経マネー2023年4月号の記事を再構成]

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