/

日銀総裁「輸出・生産、強い回復 デフレ懸念高まらず」

 今回の決定内容について。

 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)のもとでの市場調節方針について現状維持を決定した。長期国債以外の資産の買い入れ方針についても現状維持とした。経済・物価情勢の展望(展望リポート)も決定し、公表した。我が国の景気の現状は新型コロナウイルスの影響で引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直していると判断した。

 金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の黒田総裁=21日午後、日銀本店(代表撮影)

 コロナ感染の再拡大で政府は11都府県に緊急事態宣言を発令した。追加緩和の必要は。

 対面型サービス消費を中心に経済には下押し圧力が強まっている。現時点では政府と日銀の資金繰り支援策が効果を発揮しており、現在の金融緩和措置をしっかり実施することが重要だ。もっとも、企業の資金繰りには依然厳しさがみられ、感染再拡大による影響には大きな不確実性がある。必要があればちゅうちょなく追加的な緩和措置を講じる。

 緊急事態宣言にもかかわらず、2020年度の成長率見通しはなぜ小幅な下方修正にとどまったのか。

 輸出や鉱工業生産が予想していたものより強く回復しており、ほぼ感染症拡大以前のレベルに戻っているという状況も考慮している。政府の経済対策は主として21年度の経済の押し上げに効くが、20年度の経済についてもサポートする力がある。20年度の実質成長率の見通しが特に楽観的だとは言えない。

 前回の緊急事態宣言時との違いは。

 昨年の緊急事態宣言は地域的にも内容についても非常に広範だったが、今回は抑制的な政策だ。経済安定と感染の抑制のバランスをみてやっている。ただ、長く続けばそれだけ経済に対する影響も大きくなってくる。

 再びデフレに陥るリスクは。

 対面型サービスでは消費者が宿泊を見送るなど、意図的に感染を予防するために抑制している。企業が価格を下げて需要を取り込もうというインセンティブはあまりない。金融危機から来る不況とか自然災害で設備などが破壊されるとか、そういうものとは違う。デフレのリスクが非常に高いとはみていない。

 3月会合に政策点検の結果を公表する。検討状況は。

 今回の会合では点検の方向性について認識を共有した。16年の総括的検証を踏まえ、イールドカーブ・コントロールの枠組みのもとで各種施策が期待した効果を上げているかや、緩和の副作用について改めて点検する。2%の物価目標の実現に向け、より効果的で持続的な金融緩和を行うための工夫があれば実施していきたい。

 長期金利や超長期金利をより変動させる必要性は。

 イールドカーブ・コントロールは現在まで適切に機能しており、枠組み自体を変更する必要はない。具体的な運営については、より効果的で持続的な金融緩和を実現する観点から点検の対象となる。16年の総括的検証において、超長期金利の過度な低下は保険や年金などの運用利回りの低下などの影響を及ぼす可能性があると指摘したが、現在でもこうした認識に変わりはない。他方、感染症の拡大が経済に打撃を与えるなかで、債券市場の安定を維持しイールドカーブ(利回り曲線)全体を低位で安定させることが大事だ。

 政府の掲げる成長戦略は長期的には日銀の目指す物価2%目標にもつながる。点検を踏まえて政府の政策を日銀が後押しすることは。

 個々に政府と政策をリンクすることはあまりない。ただ、現在の資金繰り支援の特別オペ(公開市場操作)などは政府の無利子・無担保融資のバックファイナンス的な意味もあり、両者がうまく協調して効果を持っている。

 マイナス金利政策の導入決定から丸5年がたつ。

 効果が副作用を上回ってきたため続けてきた。欧州などでもいろんな議論がある。日本はきめ細かいシステムにして、直接的に金融機関の収益に大きなダメージを与えることのないようにしている。

 中銀による大規模緩和が今の株高を招き、相場をゆがめているとの指摘がある。出口に向けた議論が必要なのではないか。

 世界的に株価は上昇しているが、基本的には市場参加者の将来の経済や企業収益の見通しを反映したもの。市場参加者の多くが、世界経済の持ち直しが続き企業収益も回復していくと予想しているということだ。他方で感染再拡大など様々な不確実性があり、市場のボラティリティーは依然どの国も高い。現時点で出口を検討するのは時期尚早だ。日本に限らず欧米も10年越しで金融緩和を続けているが、今出口に向かっている中銀はない。

 感染が再拡大しているなか、政府による追加の現金一律給付の必要性は。

 財政政策について申し上げるのは適切ではないが、(前回の)給付金が全部消費に回らず貯蓄に回っているという議論もあり、効果について疑問も出ている。他方(消費者に)一定の安心感を与えた可能性もある。

 バイデン米大統領の経済対策への期待は。

 他国の政治情勢について具体的にコメントすることは差し控えたい。米国の政策運営は米国経済だけでなく、世界経済あるいは国際金融市場に大きな影響を及ぼす。引き続きよく注視していきたい。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

企業:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン