減損損失とは 資産価値の下落反映
きょうのことば

▼減損損失 企業が保有する資産の帳簿価額を引き下げる会計処理に伴う損失のこと。資産の収益性が下がって投資資金の回収が見込めなくなったときに、実態に見合う水準まで貸借対照表(バランスシート)に計上している額を減らす。簿価が減った分は損失として損益計算書に反映される。

工場や土地などの資産だけでなく、M&A(合併・買収)によるのれんや特許権、ソフトウエアなどの「無形固定資産」も対象になる。国境を越えた巨額買収の増加などで企業の資産は膨らむ傾向にあり、のれんの減損も増えている。構造改革で事業の収益性を見直し、減損を計上する企業もある。
新型コロナウイルス禍では製品やサービスの需要減少により、幅広い業種で減損損失が広がった。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは2020年12月期に原油安で油田などの価値を見直し、212億ドル(約2・3兆円、税引き後)の損失を計上した。外出自粛の影響が大きい鉄道会社やレジャー関連でもホテルの稼働率低下などを受けて減損処理する事例が目立った。減損は自己資本比率の低下にもつながり、財務悪化の要因になる。
