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電通の最終赤字1595億円、海外で減損 20年12月期

電通はM&Aを軸に海外事業を広げてきたが、買収後の成長が遅れコロナ禍が追い打ちをかけた=AP

電通グループが15日発表した2020年12月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が1595億円の赤字(前の期は808億円の赤字)と過去最大だった。新型コロナウイルス禍によって世界の広告市況が悪化、海外事業を中心にのれんなどの減損損失1400億円強を計上した。M&A(合併・買収)を軸に海外事業を広げてきたが、買収後の成長が遅れコロナ禍が追い打ちをかけた。

売上高にあたる収益は前の期比10%減の9392億円、営業損益は1406億円の赤字(前の期は33億円の赤字)だった。最終赤字、営業赤字とも2期連続となる。

減損損失は子会社や地域ごとの判断ではなく海外全ての地域をまとめて収益性を見直して1403億円を計上、国内でも数十億円が発生した。20年9月末時点で約7300億円あった貸借対照表上の、のれんは今回の減損で約5900億円に減った。

電通は英広告大手イージスを13年に約4000億円で買収したのを皮切りに、海外でM&Aを加速。20年までの7年間で200社近くを傘下に収め、英WPPや米オムニコムなどに次ぐ大手広告グループの一角を占める。海外売上高比率は12年3月期(日本基準)の13%から前期は55%に高まった。

ただその間に広告の主戦場はテレビなどマス媒体からインターネットに移り、コンサルティング業界などとも競合が生まれた。環境が変わる中、電通の買収後の成長戦略は思い通りに進まず、19年12月期にはのれんの減損損失701億円を計上。19年から国内外で早期退職などの構造改革を進めている。

国内ではコロナ禍でテレビなどマス媒体を中心に広告出稿が落ち込んだ。早期退職などに伴い、国内外で約783億円の構造改革費用を計上したことも響いた。このうち前期に国内で240億円が発生。今期にも同230億円を計上する見通し。

21年12月期通期の業績予想は開示しなかった。曽我有信取締役は記者会見で「4~6月期以降に成長ペースを取り戻し、売上総利益ベースでは(年間で)プラス成長を見込んでいる」と話した。従業員削減やオフィスの運用効率化などで22年12月期以降、19年12月期に比べ年平均210億円の費用を抑える計画だ。計画している東京都内の本社ビル売却については、交渉などの進捗を示さなかった。

あわせて24年12月期を最終年度とする経営計画を公表した。企業のデジタルマーケティングなどを支える事業に力を入れ、売上総利益で年平均成長率3~4%を目指す。 曽我取締役は「顧客の要望に応える手段は必ずしも広告だけではなくなっている」と話した。配当性向は減損損失などを除いた前期実績の28%(同社試算)から「今後数年で35%へ引き上げる」という。曽我氏は日本経済新聞の取材に「今後のM&Aは数や規模ではなく質を重視したい」と強調。スタートアップ企業との連携も深めていく方針も示した。

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