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日経平均が一時3万円回復 90年8月以来、経済回復期待

(更新)

15日の東京株式市場で日経平均株価が一時、3万円の大台を回復した。3万円台を付けるのは1990年8月以来、30年6カ月ぶり。企業業績の改善に加え、欧米に続いて日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が本格的に始まる見込みとなり、「コロナ後」の経済回復への期待が高まった。一方、世界的な財政拡大や金融緩和が株高を加速させている面もあり、過熱を警戒する声も根強い。

午後1時時点の日経平均は前週末比440円91銭(1%)高の2万9960円98銭。

株高のきっかけは企業業績の改善だ。世界の主要企業の2020年10~12月期決算はおおむね好調で、日本でもトヨタ自動車など21年3月期予想を上方修正する企業が相次いでいる。特に2月以降は欧米株と比べて日経平均の上昇が目立ち、「海外投資家が世界景気に連動しやすい日本株を積極的に買う動きが出ている」(国内証券)という。

内閣府が15日に発表した20年10~12月期の実質経済成長率の速報値は年率換算で前期比12.7%と市場予想を上回った。日本経済の底堅さを好感した買いが相場を押し上げた。

政府は14日、米製薬大手の新型コロナワクチンについて製造販売を特例承認した。コロナ禍の打撃はなお大きいものの、足元では航空や鉄道株も復調の兆しがある。好業績銘柄では20年4~12月期の純利益が3兆円を超えたソフトバンクグループ株が9日に21年ぶりとなる1万円台を付けたほか、日立製作所も8日に約19年ぶり高値を付けるなど主力株が大幅に上昇し、全体を押し上げている。

足元で東証1部の時価総額合計は700兆円と過去最高水準にある。30年前と比較すると、時価総額全体に占める電気機器やサービス業の比率が上昇している。ソニーの時価総額は15兆円を超えて過去最高となり、電気自動車(EV)用モーター大手の日本電産なども大幅に時価総額を伸ばした。銀行を中心に金融は時価総額の比率が低下し、主役交代も進んでいる。

一方、過熱への警戒感も出ている。1月末からの日経平均の上げ幅は2週間ほどで2000円を超え、上昇ペースが加速している。新型コロナ後の金融緩和や財政政策であふれたマネーが株式のほか原油や暗号資産(仮想通貨)などリスク資産に向かっている。米バイデン政権が大規模な追加財政対策を準備していることも投資家の強気姿勢につながっている。市場では「3万円を付けた一服感からしばらく調整局面に入りやすい地合いだ」(三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏)との指摘もある。

日経平均は1989年に最高値(3万8915円)を付けた後、バブル崩壊で長期低迷期に入り、2009年3月には7054円まで下落した。12年以降は企業のガバナンス(企業統治)改革などを進めたアベノミクス相場で上昇基調に転じていた。

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