ESG指数採用銘柄が上昇 GPIFの運用追い風
複数のESG(環境・社会・企業統治)関連の株価指数に採用される銘柄の株価上昇が目立っている。ESGを重視する投資手法が浸透してきたほか、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が指数に連動した「パッシブ運用」を拡大しているためだ。運用資産の拡大に伴い投資マネーが流入し、今後も株価が堅調に推移する可能性が高い。

GPIFは2017年7月、3つのESG指数に連動するパッシブ運用を始めた。FTSEブロッサムジャパン、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ、MSCI日本株女性活躍指数の3指数だ。大和証券の阿部健児チーフストラテジストの調べによると、3指数全てに採用される銘柄は87銘柄あり、東証株価指数(TOPIX)の上昇率を長期的に上回っている。
実際、3指数に採用される富士通は、GPIFがESG投資を始めた後の17年末から株価は2.6倍に、中外製薬も2.2倍になっており、7%高にとどまるTOPIXを大きく上回る。13日の東京株式市場でもMS&ADインシュアランスグループホールディングスや野村ホールディングスなど幅広い銘柄が上昇した。
追い風になっているのはGPIFの投資拡大だ。20年3月末に国内株を対象にしたESG指数の運用残高は6.3兆円と、17年度末から約4倍に膨らんでいる。パッシブの運用残高が増えると、指数が採用する銘柄に応じて投資マネーが流入する。阿部氏はGPIFのESG投資は「今後も増加傾向が続く」とみており、採用銘柄への資金流入は続きそうだ。
もっとも「ESG評価が高い銘柄は既に買われており、上昇余地は少ない」(国内証券)とみる向きもある。新たなESG銘柄を発掘したい投資家は多く、ESG指数が組み入れ銘柄や比率を変更する「指数イベント」の注目度も高まりそうだ。