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5大銀の純利益総額が最高、倒産少なく損失回避

5グループの4~9月期 業務純益は減益 成長戦略に課題

大手銀行5グループの4~9月期の連結純利益の総額は新型コロナウイルス禍で不透明感が残る中、前年同期比で77%増加し、過去最高益だった。コロナ対策による政府の政策効果で倒産による損失を回避。個別行でも15日に発表した三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が最高益を更新した。ただ、一時的な好決算とも言え、成長に向けた本格回復とは言いがたい状況だ。

三井住友FGは18年4~9月期以来で過去4番目、みずほFGは13年4~9月期以来で、過去3番目の水準だった。三井住友トラスト・ホールディングス(HD)、りそなHDを含めた5グループ総額は1兆8150億円だった。5グループ総額で上期に最高だったのは18年4~9月期の1兆6964億円だった。

MUFGが過去最高だった11年4~9月期(6960億円)を超えたのは、持ち分法適用会社の米モルガン・スタンレーの業績好調が寄与したことが大きい。「一言で言えば、堅調な決算だった」(亀澤宏規社長)。通期目標も1兆500億円に引き上げ、通期で最高だった15年3月期(1兆337億円)を超える見通しだ。

最大の増益要因は与信費用の少なさだ。融資が焦げ付く危険性があると見て、積み増していた貸倒引当金を使わずに済んだ。5グループ合計の与信費用(傘下銀行合算)は引当金を取り崩し、408億円の「戻り益」だった。前年同期は約2800億円の費用を計上していた。

東京商工リサーチによると、4~9月の倒産件数は57年ぶりの少なさ。政府による実質無利子・無担保融資(通称、ゼロゼロ融資)による財政支援が効き、それが銀行業績を下支えする皮肉な構図だ。

象徴しているのが5グループ合計の連結業務純益だ。純利益が77%も増えたにもかかわらず、1%減の1兆9535億円。本業の稼ぐ力に課題が残ったままだからだ。

1つは不採算構造だ。例えば、みずほは店舗統廃合などを進めるものの、国内の銀行単体の総資金利ざやはマイナスのまま。度重なるシステム障害の対策投資枠として通期で130億円も計上した。

もう1つは海外事業の伸び悩みだ。MUFGはリーマン・ショック後に成長していた海外融資が伸び悩む。市場部門の収益に依存する構造が強まっている。MUFGだけ業務純益が前年同期比減少したのは、市場部門の収益がほぼ半減したため。みずほも米国の投資銀行部門が好調だったものの、同じ構図で業務純益は横ばいにとどまった。

背景には想像以上の規模拡大に成長戦略がついていけない構造問題がある。MUFGの総資産は21年9月末時点で360兆円に達し、発足時の06年と比べほぼ2倍。3メガバンク合計は800兆円を超え、日本のGDP(国内総生産)も超える。

PBR(株価純資産倍率)は1倍を割ると今の株価が企業の資産価値に対し割安を意味するが、MUFGが0.47倍(11月時点)、三井住友が0.43倍(同)、みずほが0.4倍(同)。10年時点では1倍前後で推移していた。

国内事業で復調の気配はある。三井住友トラストの高倉透社長は「かなり手応えのある決算だった」と語った。好調だったのは資産運用や不動産仲介で、りそなも個人向けの投信販売やファンドラップが伸びた。「ずっと種をまいてきたストック型の収益が実ってきた」(りそなHDの南昌宏社長)という。

ただ、規模が大きく小回りも効かないメガバンクを見る株式市場の目は冷たい。三菱UFJの時価総額は米モルガン(約1791億㌦=約20兆円)の半分以下の9兆円弱。7~9月期決算で米ゴールドマン・サックスが6割、米モルガンが約4割の大幅増益となった構図と同じにもかかわらず、メガバンクの成長戦略に悲観的だ。

「半導体をはじめ供給網の寸断やエネルギー価格の高騰など不確定要素があるので十分注意しなければならない」。三井住友FGの太田純社長は警戒する。

「このまま回復に向かっていくとみるのは時期尚早」。みずほFGの坂井辰史社長は世界的な供給制約による取引先企業の業績悪化に備え、与信コストを積み増している。 

3メガトップの発言が一様に慎重なのは、不良債権化を封じ込めている政府の政策次第で大きくブレやすい構造があるからだ。

無利子・無担保の期限が切れ、債務者が返済を始めるタイミングが訪れれば、銀行は再び損失を計上し始める。それまでに成長戦略を描けなければ、メガバンクといえども再び苦しい経営に逆戻りしかねない。

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