ダークパターンとは 消費者惑わすサイト設計
きょうのことば
▼ダークパターン 消費者を不利な決定に誘導する表記やサイト設計を指す。英国の著名ウェブデザイナーによる造語で、約10年前から問題視されるようになった。実際に電子商取引(EC)サイトでは、身に覚えのない料金請求などの被害が増えている。
ダークパターンは十数種に分類される。在庫の少なさを強調する「あおり」や、特定のボタンを目立たせる「誘導」などが代表例だ。2019年の米プリンストン大による研究では、英語のECサイトの1割強でダークパターンが見つかった。

欧米では規制が進む。米当局は20年に退会しづらいサイト事業者を提訴。ダークパターンを用いた消費者の同意取得を無効にする規制なども広がる。消費者庁は取り締まりを強化する方針だが、国内での議論は成熟していないのが現状だ。

データ資源は21世紀の「新たな石油」といわれる。企業や国の競争力を高め、世界の経済成長の原動力となる。一方、膨大なデータを独占するIT(情報技術)企業への富と力の集中や、人工知能(AI)のデータ分析が人の行動を支配するリスクなど人類が初めて直面する問題も生んだ。
連載企画「データの世紀」とネット社会を巡る一連の調査報道は、大きな可能性と課題をともにはらむデータエコノミーの最前線を追いかけている。