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電力逼迫でエネ大手悲鳴 21年3月期、市場調達費膨らむ

ENEOSは200億円

(更新)
電力需給の逼迫で価格が高騰した

今冬の電力需給の逼迫がエネルギー大手の利益を押し下げている。需要の増加で電力を売買する市場での調達価格が高騰。ENEOSホールディングスは2021年3月期に200億円の営業減益の要因になると見込む。東京ガスは純利益予想を下方修正した。株式市場では需給逼迫は収益にプラスに働くとの見方が多かったが、想定を超える需要増が各社の収益の足かせとなっている。

ENEOSは10日、電力価格の高騰が21年3月期の連結営業利益(国際会計基準)を200億円押し下げることを明らかにした。価格上昇を受けて停止していた発電設備を再稼働するなどしたが補いきれず、市場から割高な電力を調達せざるを得なくなった。

今後は他社から相対で調達する契約を新たに結ぶことや先物の活用などを検討する。田中聡一郎常務執行役員は同日のオンライン記者会見で「マーケットが急変してもリスクを最小化できるようにしたい」と語った。

東京ガスも1月のピーク時などに市場から電力を購入し、コストが150億円増えた。ガス事業で見込む利益の増加分を打ち消し、21年3月期の連結純利益予想を70億円引き下げた。北陸電力も1月に初めて公表した21年3月期の純利益予想が20億円と、直前の市場予想(163億円)を大きく下回った。

今冬は寒波による電力需要の増加に、発電用燃料である液化天然ガス(LNG)の不足が重なって電力需給が逼迫した。電力の小売事業を手掛ける企業は自社の発電所や他社からの相対調達で足りない分を市場で急きょ購入した。その結果、電力価格が上昇し、日本卸電力取引所(JEPX)の昨年4月以降の日次平均価格は1キロワット時5~10円程度で推移していたが、1月中旬には同150円程度に急騰した。

電力逼迫の影響について株式市場では発電所などの自社電源を持つエネルギー大手の業績にプラスに働くとの見方が多かった。電力販売量が増えると同時に市場で高値で売れる機会も増えるとの見立てからだ。しかし、実際には想定以上に電力が足りなくなり、逆に割高な電力を市場で購入せざるを得なくなった。

九州電力やJパワーは価格上昇の影響が見極められないとして21年3月期の業績予想を取り下げた。電力の使用量が多い製造業でも影響が出ており、日立金属は市場価格に連動するプランを採用していたことでコストが増え、21年3月期に10億円の減益要因になる。

恩恵があったのは供給力に余裕のある一部の企業にとどまる。北海道電力石油資源開発は自社発電の電力が市場で高く売れ、今期の業績予想を上方修正した。

東京電力ホールディングスが10日に発表した20年4~12月期連結純利益は前年同期比70%減。21年3月期通期の業績予想は未定のままにした。記者会見した大槻陸夫常務執行役は電力逼迫の業績への影響は「プラスとマイナスの両面ある。電力の小売り自由化で販売量を予想しづらくなっている」と語った。

エネルギー業界では今冬のような電力逼迫は頻発するものでないとの見方が多い。大和証券の西川周作シニアアナリストは「発生頻度が高くない逼迫のために発電所を多く抱えるのは非効率になる」と指摘。そのうえで「需要予測の精度を高めることや、トラブルを起こさず設備を安定稼働させるために備えることが重要だ」と語る。

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