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製薬大手の株価が二極化 中外、コロナ薬候補

武田など特許切れ懸念

製薬大手の株価二極化が定着している。新型コロナウイルス禍で医薬業種が注目されるなか、創薬力や新薬の勢いで投資家が選別する動きが強まった。中外製薬はコロナ治療薬の候補を持つ一方、武田薬品工業は特許切れの懸念がくすぶる。研究開発の効率を高めるための合理化などの取り組みが今後の株価に大きく影響しそうだ。

中外薬が4日に発表した2020年12月期の連結純利益(国際会計基準)は前の期比36%増の2147億円と4期連続で過去最高を更新した。

コロナ治療薬の候補になった抗リウマチ薬「アクテムラ」の親会社ロシュ向けの輸出が53%伸びた。血友病治療薬「ヘムライブラ」も伸び、21年12月期のコア純利益は前期比6%増の2320億円となる見込みだ。

武田が同日発表した20年4~12月期の連結純利益(同)は前年同期比4.2倍の1789億円だった。神経疾患領域で、患者の受診抑制の影響が一部で出たものの、主力の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」の売上高が3193億円と21%増加した。

アイルランド製薬大手シャイアーの買収に伴う関連費用が減少したのも寄与した。合理化策として、シャイアーの子会社の統廃合を進めた結果、税率が低下する。21年3月期の純利益を前期比4.1倍の1805億円と、従来予想から565億円引き上げた。

足元の業績はともに増益基調だが、中外薬の株価は1月中旬に上場来高値を付け、武田の株価は低迷が続く。大手4社でみても開きが大きい。

中外薬はロシュとの連携のもと、効率的な開発・販売体制を構築。今期は20年に発売した神経領域の新薬「エンスプリング」の拡販を見込むなど、新薬を継続的に創出する仕組みを整えている。奥田修社長は「自前主義ではなく連携で時間を買う。2030年には研究開発のアウトプットを倍増する」と話す。

第一三共の株価は19年末に比べ35%上昇した。注力するがん分野で20年に日米で発売した新型抗がん剤「エンハーツ」が順調な滑り出しとなり、ピーク時の売上高は7000億円を超えるとの試算もある。同様の手法で複数のがん分野の医薬品の開発を進めており、長期的な成長確度が高いと評価されている。

一方、武田やアステラス製薬に共通するのが特許切れへの懸念だ。今期の売上高見込みが4000億円超の武田のエンティビオや、アステラスの前立腺がん治療薬「イクスタンジ」は、20年代半ば頃から特許が切れ始めるとされる。市場では「次のけん引役が現時点では見当たらない」と不安視する声も多い。

特許切れに備え、武田は24年度までにシャイアーなどから獲得した希少疾患分野など12種類の新薬を投入し、関連製品の売上高を最大で1.4兆円にする目標を掲げる。アステラスも特定の病気を対象に開発を進めるのではなく、革新的な技術をもとに複数の疾患群を対象に創薬する「芋づる式」の新薬開発に乗り出した。

製薬業界は遺伝子治療や核酸医薬など、新しい医療手段の登場で研究開発費は今後も膨らむ公算が大きい。ロシュなど世界のメガファーマは年間の研究開発費が1兆円規模であるのに対し、日本勢は最多の武田でも4000億円台にとどまる。

東海東京調査センターの赤羽高シニアアナリストは「開発対象の絞り込みや、M&A(合併・買収)も含めた外部機関との提携が今後の成長のカギを握る」とみる。規模が重要性を増す中で、合理化や柔軟な提携戦略が焦点となりそうだ。

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