貿易保険法改正案の提出を断念、経産省
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経済産業省は4日、いまの通常国会で審議を予定していた貿易保険法改正案について、提出を取り下げると正式に発表した。法案は新型コロナウイルス感染症の拡大に対応し、日本貿易保険(NEXI)の手がける貿易保険の対象範囲を広げる内容だった。同社は不適切な投資や保険料の誤徴収が明らかになっており、同省は再発防止を優先する。
日本貿易保険は政府が100%出資する株式会社。経産省は同社に対し「業務全般について徹底した調査・検証と早急な再発防止策の決定、実施を求めている」という。そのうえで「包括的な再発防止策を講じるまでには時間がかかる」ため、法案の提出見送りを決めた。
日本貿易保険は同日、企業の輸出などで生じる損失をカバーする貿易保険で、企業から受け取る保険料の金額を誤っていた事例があったと発表した。2006年から18年までの38件の保険契約で間違いが見つかり、本来の金額よりも多く徴収していたのは1件あたり最大で45万8616円。同社は企業が過大に払った金額について、今後返還する。
保険料を少なく徴収していたケースでは、1件あたり最大で153万7695円不足していた。同社は日本経済新聞の取材に「追加の徴収をするかどうかは現在検討している」と述べた。2月には省令で定める運用手法にあてはまらない不適切な投資をしていたことも明らかになり、不祥事が続いている。