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三菱電株、今期業績上方修正も株価は鈍く

三菱電機の株価がファクトリーオートメーション(FA)業界で出遅れている。安川電機ファナックほど中国の景気回復による需要を取り込めておらず、新型コロナウイルスの感染が広がる以前から自動車機器の収益が伸び悩んでいるためだ。2日には2021年3月期の業績見通しを上方修正したが、株価の反応は鈍い。市場の関心は来期以降のFA以外の事業の立て直しに移っている。

2日に発表した2021年3月期の連結純利益(国際会計基準)の見通しは前期比35%減の1450億円だった。従来予想から250億円引き上げた。FAシステムは中国を中心に高速通信規格「5G」や半導体関連の需要が増え、部品の加工に使う数値制御(NC)装置などの販売が好調だった。家電機器も在宅時間の増加を背景に欧州や北米でエアコンの販売が伸びた。経費削減などコスト抑制分の上振れも利益を支える。

皮籠石斉常務執行役は電話会見でFA機器について「中国、台湾、韓国向けで幅広く需要が伸びてきている」とし、来期についても「5Gや半導体、リチウムイオン電池関連は活況が続く」との見方を示した。

もっともFAや空調機器の需要回復はある程度株価に織り込まれていた。2日の株価は午後1時過ぎの決算発表後に一時前日比3.2%高まで上昇したが、その後は伸び悩んで0.7%高で取引を終えた。市場では「投資家の関心は来期の業績回復に移りつつある」(SBI証券の和泉美治シニアアナリスト)との声が聞かれる。

FA業界では専業メーカーが中国の工場自動化需要を追い風に業績を大きく伸ばしている。ファナック、安川電機はそれぞれ今期の業績見通しを2割増益に上方修正した。ファナックは4~12月期の売上高に占める中国比率が32%、安川電は3~11月期に26%となった。これに対して三菱電の中国比率は4~12月期に12%で、業績は回復傾向ながら競合の専業メーカー2社ほど中国経済の恩恵を受けられていない。

三菱電が今期を最終年度とする中期経営計画で掲げた売上高5兆円、営業利益率8%には届かない見通し。主力の自動車機器などで競争が激化して期待していたほどの採算性を確保できない状態が続いている。新型コロナウイルス禍が長期化するなか、鉄道やビルシステム関連でもどこまで需要が戻るかは不透明だ。

コスト削減などを通じた業績の安定性を評価する声もある一方、投資家からはけん引役の見えにくさを指摘する声もある。SBIの和泉氏は「(18年3月期に達成していた)営業利益で3000億円規模への回復を期待するうえで、電気自動車(EV)向け機器などの成長性を確認したい」と指摘する。来期に発表する予定の新たな中期計画でどこまで成長の道筋を描けるのかが当面の焦点となる。(柘植康文)

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