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今年は「三大割安株」に投資妙味(窪田真之)

楽天証券経済研究所長兼チーフ・ストラテジスト 

株式投資の代表的スタイルは2つあります。1つはグロース(成長株)投資、もう1つはバリュー(割安株)投資です。過去10年、日本株では、グロース株優位が続いてきました。情報通信・ITサービス・バイオなどグロース株の上昇が続く中、金融・資源関連・製造業などバリュー株のパフォーマンスは不振でした。

過去4年で、グロース優位が加速しています。中でも、昨年(2020年)は、グロース株がバリュー株を24%も上回るパフォーマンスとなりました(配当込みのTOPIXグロ-ス・バリュー指数の20年騰落率の差から計算)。コロナ禍で、旧来型の製造業や小売業、対面サービス業の売上が落ち込む中、リモートワーク・リモート会議・オンライン診療・オンライン授業・ネット金融・ネット小売業などの成長が加速したからです。

グロース株とバリュー株のバリュエーション(株価指標)の格差はかつてないほど拡大しており、経験則ではリバーサル(逆の動き)が出やすくなります。つまり、バリュー優位への転換が近づいている可能性があります。

東証マザーズ上場のグロース株の中には、いまだに赤字続きの新興企業があります。ITやバイオで成長する夢だけで時価総額数百億円まで買われているものの、いまだに黒字化のメドがまったくたたない企業も多数あります。ITで世の中が変わるというイメージだけでIT株が派手に買われた1999年の「ITバブル」に近い状況の銘柄もあると思います。

一方、バリュー株には、財務内容が良好、収益基盤がそこそこ堅固で配当利回りが4%を超え、ITによる技術革新を進めて時代の波を捉えつつあっても、「旧来型産業」とレッテルを貼られて投資家に見向きもされない銘柄があります。

グロース優位とバリュー優位は、循環しており、2000年台に入ってから最初の10年は、バリュー優位でした。金融危機を脱した金融株や、新興国成長で恩恵を受ける重厚長大産業などのバリュー株が、大きく上昇した局面でした。

一方、2010年以降の10年間は、グロース優位でした。これからの10年は引き続きグロースが優位となる可能性はあります。それでも、目先の1年はグロース物色の反動で、バリューが優位となる年になると、私は予想しています。

1月は、グロース株の上値が重くなる中、高配当利回り株など出遅れバリュー株が買われました。バリュー株がグロース株を2.2%上回り、久々のバリュー優位の流れとなりました。

私は、2021年を通して、金融株・資源関連株・製造業の「三大割安株」のパフォーマンスが良くなると予想しています。三大割安株には、平成の30年間の構造改革を経て、財務・収益力を格段に改善した企業が多数あります。利益を伸ばし、配当も増やしてきたにもかかわらず、時代の波に乗り遅れているイメージから株価は上がらず、結果的にPER(株価収益率)・配当利回りなどの株価指標で見て、きわめて割安に見える銘柄が増えています。割安が修正するきっかけは、それぞれ固有の環境変化に起因しています。

銀行・損害保険・生命保険・リースなど金融株は長期金利が下がると将来の収益が低下するイメージがあるため株価が下がり、逆に金利が上がると株価が上昇します。欧米でも低金利下でもしっかり利益をあげている金融株は、株価指標で見て割安なバリュー株となります。

巨額の財政出動で米国債の発行が大幅に増加し、米景気の回復色が強まる今年の後半に米長期金利は2%に近づくとみています。金融株のパフォーマンスが高くなると考えられます。

資源関連株は、資源価格に連動する傾向があります。コロナショックで大幅に下落した原油や銅などの資源価格が反発しています。

出遅れ製造業の株価が急速に回復してきたのは、世界の景気回復期待が高まったことによります。中国や米国を中心に、自動車販売が回復してきました。需要増加に対応するために自動車生産が活況となっています。自動車産業はすそ野の広い産業で、電子部品・自動車部品・産業用ロボット・鉄鋼・化学など、日本の製造業全般に波及効果があります。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムです。
窪田真之(くぼた・まさゆき)
1961年生まれ。84年慶大経卒、住友銀行入行。87年より大和住銀投信投資顧問などで日本株ファンドマネージャー。2014年楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト、15年所長。

[日経ヴェリタス2021年2月14日号]

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