米テック企業の相次ぐ人員削減 高島宏平さんらが解説

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。今回は米テック企業による相次ぐ人員削減ついて、関連するニュースからポイントを解説している投稿を3本紹介します。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)
「テック企業大量解雇の影響」を解説


【高島宏平さんの投稿】今回のTwitterやメタ、Amazonなどの大量解雇を受けて、アメリカのスタートアップでは、優秀な人材採用の好機として採用合戦がスタートしていると聞きます。今回解雇された方々にとってもGAFA時代のような高報酬は難しいので、報酬を下げて小規模のIT会社に転職するよりも、むしろ株式報酬のあるスタートアップを選ぶエンジニアも多いでしょうし、自ら起業する人も多く出てくると思います。アメリカの強さは、こうした数年に一度の人材大移動にあり、この数年後新たなユニコーンが多く生まれると予感します。日本でこうした人材大移動をどう起こしたら良いのか、というのが私達の大きな課題と思います。
「Amazonの人員削減」を解説


【山口真一さんの投稿】IT企業での人員削減発表が相次いでいます。例えばFacebookを運営しているメタは、人員の1割強の1万1000人超の人員削減を発表しています。ツイッターも同様です。ただこれでIT企業が危ういというよりは、コロナ禍特需で拡大していったものが、ある程度元に戻ると考えたほうが良いでしょう。メタの人員は過去3年間でほぼ倍増していました。しかし、広告収入に頼るIT企業は、不景気になれば広告収入が減るため、実は、不景気の影響をもろに受けます。ECサイトを運営するAmazonも、消費が減退すれば大ダメージです。コロナ特需の縮小と不景気により、人員削減に踏み切ったといえます。
「マスク氏が迫る『激務か退職か』」を解説


【白井さゆりさんの投稿】長時間労働を要請し過度にストレスを与えるような労働環境は、ESG経営を重視する時代に異質です。米国ではESG投資が活発で労務管理の改善を重視する株主提案も多く、大企業を中心に改善が進みつつあります。コロナ感染症危機以降は、自宅勤務と対面勤務を組み合わせる働き方が世界的に増えており、勤務のほとんどをオフィス勤務にするように義務付けるのはかなり強硬な対応に思われます。すでに広告をだすことを回避する企業が増えていますが、ツイッターと取引を避ける企業も増えると思います。テスラはEVの開発生産で世界をリードしていますが労務管理で問題が露呈していますし、マスク氏がどこへ向かおうとしているのか懸念を感じています。
米テック企業、人員削減の背景は?(11月10日)
背景にあるのは新型コロナウイルスの流行に伴う需要急増の反動と景気減速だ。各社は社会のデジタル化が加速することへの自信を深めて投資を拡大し、低金利を背景にテック業界に大量の資金が流れこんだ後押しも受けた。だが、足元では需要は落ち着き、急拡大に伴う人件費などのコスト負担が重くなっているのが実情だ。
【もっと知りたい】
マスク氏対Twitter 半年間の買収劇を振り返る
[FT・Lex]米テックの人員削減、人材獲得競争の号砲
【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
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