FRB、3回連続の0.75%利上げ 中空麻奈さんらとThink!

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。9月16~22日の記事では、BNPパリバ証券のグローバルマーケット統括本部副会長の中空麻奈さんが「FRB、3回連続の0.75%利上げ」を読み解きました。このほか「Web3 熱狂と不信」「エリザベス女王の国葬」といったテーマの記事に投稿が寄せられました。振り返ってみましょう。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)
「FRB、3回連続の0.75%利上げ」をThink!


【中空麻奈さんの投稿】8月のCPIを見れば今般の75bp利上げはほぼ予想通り。8月のコアCPIは7月の前月比0.3%から0.6%へ上昇ペースを加速させ、サービスインフレも継続するなど基調的なインフレの強さが確認されたためである。では11月のFOMCはどうなるか。私見では、成長が徐々に鈍化しスタグフレーション気味になること、労働市況の悪化も想定されることなど第4四半期の経済環境が現在とは相当異なった雰囲気になっていると考える。11月のFOMCまでCPIの発表はあと1回。インフレ率は遅行指標であると考えればこちらの指標も成長鈍化を反映し始める可能性は大きい。今後は利上げペースを緩めるべき状況になっていくのではないか。
「Web3 熱狂と不信」をThink!


【暦本純一さんの投稿】情報系の人間は「中央集権」や「monolithic(一枚板のアーキテクチャ)」が本能的に嫌いで、distributed, decentralized みたいな用語に憧れを持ってしまいます。元をたどればIBMの大型計算機からの反発なのでしょうか。有名なAppleの1984年CMではそれが象徴的に描かれています。その一方で、Google, Amazon, Microsoftは世界最大のデータセンター企業でもあり、今、1984年CMを作り直すとすると中央集権側の存在になるのかもしれません。という意味では、分散への憧れと集中化への回帰はレイヤーを変えながら繰り返していくのでしょう。
「エリザベス女王の国葬」関連ニュースをThink!


【細谷雄一さんの投稿】オクスフォード大学マートン・カレッジに留学した天皇陛下と、同大学ベイリオール・カレッジ(ジョンソン前首相の出身カレッジ)に留学した皇后陛下。お二人とも英語に堪能で、天皇陛下は皇太子時代のオクスフォード留学の幸福な時間をときおり思い出した文章を綴っておられます。当初から、最初の外国訪問先としてイギリスを想定したところ、コロナで訪問が延期になっていました。悲しい理由ながらも想い出の地、イギリスに訪問してチャールズ新国王らと旧交を温められることは、貴重な機会かと思います。きっと国葬の際には、黙祷をしながら自らにとても親切にして頂いたエリザベス女王の棺に感謝の気持ちをお伝えになるかもしれません。
「医療制度改正」をThink!

【井戸美枝さんの投稿】年齢問わず、収入がある人の負担が重くなることは、やむを得ない措置といえるでしょう。自己負担割合が1割から2割に引き上げられても、単純に医療費が2倍になるわけではありません。たとえば、10月から自己負担の引き上げ対象となる、75歳以上の年収200万~383万円(単身者の場合)の人には、入院とは別に、外来に対しても高額療養費制度の限度額が設けられており、その自己負担額は月1万8000円です。1カ月にかかった外来の医療費が15万円だった場合、1割の1万5000円から2割負担の3万円になる…と考えるかもしれませんが、このケースでは外来上限特例が適用され、自己負担額は1万8000円となります。
「オフィス再定義」をThink!


【村上臣さんの投稿】なかなか進まなかった働き方改革が、コロナ禍という外圧により急速に変化していることは皮肉ですね。しかし、これによりDXが進むという点では歓迎すべきことです。一方でテレワークでのコスト削減効果には疑問があります。見方によっては在宅勤務はオフィスでのコストを個人宅に転嫁しただけとも思えます(地代、光熱費、通信費など)。これは手当なり賃金上昇によって報われているのか? 浮いたコストはデジタル業務のさらなる進化に向けた投資につながっているのか?そのような点に注目する必要があると思います。
「ブルーカーボン」をThink!


【吉高まりさんの投稿】サステナブルファイナンスにおいて自然資本や生物多様性の保全が対象になっている。海洋資源について、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が持続可能な海洋資源の利用を「ブルーエコノミー」として提唱し、金融にも関連する海洋採掘等のリスクについて報告書を公表した。国際金融公社も気候変動問題でのグリーンボンド原則を基にブルーに適合と考えられる資金使途の例をまとめたガイダンスを公表し、マルハニチロがブルーボンドの発行検討を公表している。ブルーカーボンはまだクレジットとして公式に認められていないが要注目だ。これらの民間の動きを支援する政策強化が求められる。
【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート紹介】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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