川島真さんらと振り返る2022年 Think!まとめ読み
7~9月の注目ニュース

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。電子版記事とエキスパートの解説を通じて2022年を振り返るシリーズ、第3回は7~9月です。読者の関心を集めた記事から、東京大学大学院総合文化研究科教授の川島真さんの投稿をはじめ、「Think!」担当者がえりすぐったエキスパートの解説を紹介します。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)
7月の注目ニュースをThink!


【竹中治堅さんの投稿】テロ行為により安倍晋三元首相が突然、逝去されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。テロにより、意見の異なる政治家などを殺害、攻撃、威嚇することは民主主義と言論の自由への攻撃であり、許されることではありません。今回のテロ事件を改めて強く非難します。明日の参院選最終日、各党ともにテロに怯むことなく自由な言説を展開してくれることを願います。と同時にテロ行為を成功させないための十分な警備体制をとっていただきたいと思います。今回、360度開けた場所、かつ背後に人が立てるような場所での演説を許容した警備体制が適切なものだったのかと問わずにはいられません。
8月の注目ニュースをThink!


【川島真さんの投稿】従来、日米などの立法府(議会)を通じた対台湾交流は認められており、下院議長の訪台も前例がある。昨今、中国は蔡英文政権を独立志向政権だと見做し、議員であれ、企業であれ、蔡政権に接近する者を全て批判する。アメリカとしては従来からの「一つの中国政策」を変えているつもりはない。だが中国は強く反対し、軍事的威圧を高め、台湾の官公庁に対するサイバー攻撃などを行った。中国国内では対台湾強硬論が高まっており、台湾政策も今後一層厳しくなろう。振り返れば、10年前習政権形成期には日本の尖閣「国有化」があり、それが政権の保守化を加速させた。今回のことにより三期目の習政権が一層保守化するか、内政への影響が懸念される。
9月の注目ニュースをThink!


【尾河真樹さんの投稿】145円を超える円安は日本政府として容認できないというメッセージを市場に明確に示した点で、意味のある介入だ。したがって、当面ドル円の145円付近は重くなるのではないか。ただ、今の円安は日本の経常黒字の急速な減少や、諸外国の利上げに対し、日本だけが緩和維持姿勢であることが際立っていることなどが背景にあり、こうしたファンダメンタルズに変化がなければ、介入でドル円を「上昇トレンド」から「下落トレンド」へと向きを変えることは難しいとみている。今後米国経済が悪化し、インフレが抑制されれば自然とドル円は反落しよう。それまでの時間稼ぎという趣旨であれば、今後複数回の介入が必要になるかもしれない。
【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート紹介】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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