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人口増に挑む Think! エキスパートと読み解く

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。今回は、加速する少子化と人口増への挑戦に関する投稿をまとめました。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)

「出生率3目前」をThink!

出生率3が目前 「大学卒業まで支援」岡山・奈義町の本気(6月30日)
岡山県奈義町に移住した飯島有香は4歳の長女、1歳の長男に続いて3人目を妊娠中。「近所とのコミュニケーションが密。畑の野菜もよく分けていただきます」。駅もない過疎の町に子育て世帯が続々と集まる。

【山口周さんの投稿】私が「予測はどうせ外れる」と話すと「でも人口減少の予測は当たる」と反論されることがある。知識の問題と言ってしまえばそれまでだが、過去に提出された少子化による人口減少の予測の多くが外れたことは知っておいた方がいい。例えばイギリスでは20世紀初頭に人口減少予測が盛んに提出されたがそれらは全て外れているし、アメリカでも1920年代の出生率低下を受けて「60年代には人口が2/3まで減少する」と予測されたが、この結果も大きく外れている。昨今では国連も人口予測を大きく修正した。予測は運命ではない。今を生きる私たちの工夫と勇気によってそれはいくらでも変えられるのだということを忘れてはならないと思う。

村上芽さんの投稿】地域で子育て支援に成功したというと、子ども服のおさがりのような温かい話に隠されがちですが、このまちとして生き残る、未来に引き継ぐという強い意志と、財源投入という具体的な議会の意思決定があるからこそできています。欧州の小国の策に重なって見えます。単なる労働力ではない、人間をどう見るかで、結果は変わります。

「若年女性比」をThink!

若年女性比、143市町村で上昇 移住・就職を一体支援(8月26日)
女性の継続的な流出に悩む43道府県のうち143市町村で、15~29歳の若年女性比率が改善した。職場づくりや子育て環境の充実に取り組んだ結果、流出に一定の歯止めをかけ、移住者獲得にもつなげた。持続的発展には若い女性の支持は欠かせない。

【諸富徹さんの投稿女性の定着を目指すまちづくりは、正しいと思います。政府の地方創生の関連会議でも、男性以上に女性が大都市に流出する傾向がずっと論点でした。なぜなのか? 1つには、都会の方がより自由だからでしょう。2つには、より多くのチャンスがあるからでしょう。3つには、女性の望むライフスタイルが実現しやすいからでしょう。彼女たちの想いに真摯に応えることができているか、まちづくり関係者はつねに自らに問いかけてみるべきでしょう。職場も自治会も、男性だけで集まり、決定していませんか? こうした地域に魅力を感じない女性は、積極的な意味で大都市に逃走します。女性が留まる地域は、男性にとっても魅力的なのではないでしょうか。

「出生数急減」をThink!

出生急減、22年80万人割れへ 人口1億人未満早まる恐れ(12月2日)
日本の出生数が急減している。2022年の出生数は初めて80万人を下回る公算が大きい。少子化が進むと年金や医療など現役世代が支える社会保障制度が揺らぐ。労働投入も減り経済の成長力が下がる。子どもを産み育てやすい環境整備が急務だ。

【中空麻奈さんの投稿ソブリンリスクの格付けを付ける際、大事なポイントの一つが人口である。人口が多いことが潜在的な成長力に直結する、からだ。22年の出生数は80万人を割り、このままでは1億人を維持できなくなる、という。"成長と分配の好循環"をどれだけ整えても、中長期的な人口問題を解決できずにいけば、じり貧は目に見えている。子育てし易い環境整備、子供手当等の充実もよいが、出生数をあげるのにお金を配ればいい、という安易な発想だけでは、人口減は止められない。もう時間切れかもしれないが、移民も真剣に考えるべきだし、一方で、人口減を視野に入れた制度や都市整備のコンパクト化も着実に行うべきである。

「北海道東川町の人口増加」をThink!

信号10カ所の北海道東川町 移住者絶えず人口増加(6月28日)
北海道のほぼ中央に位置する東川町は上水道、鉄道、国道の「3つの道がない町」にもかかわらず、移住者が絶えない。賃貸アパートの入居率は99%に達し、造成した住宅の分譲区画も完売が相次ぐ。

【室橋祐貴さんの投稿】北海道の東川町、取材で何度も行っており、大好きな町なんですが、町中を歩いていても移住者が開いたカフェなどがたくさんあります。また旭川家具を使った学校の椅子など、全体的に品質が高く、ハイセンスな町並みになっています。実際に小さい子どもを持つ移住者に話を聞くと、豊かな自然に加え、充実した子育て環境を移住の理由に挙げる人も多くいました。松岡町長に話を聞くと、「平成の大合併」の時に合併せずに、自立の道を選んだからこそ、予算がないから、前例がないから、他でやっていないから、という3つの「ない」を言わないことを徹底し、若手職員も主体となって独自の取り組みが生まれていると言います。

「軽井沢に活気」をThink!

「子育て移住」軽井沢に活気 個性的な学校も続々(6月29日)
東京都内のIT(情報技術)コンサルティング会社に勤める山崎仁志は20年4月、長野県軽井沢町に家族と移住した。現在は仕事の大半をリモートでこなし、週1度のペースで都内へ出勤する。移住の決め手は20年春に開校した私立の幼小中混在校、軽井沢風越学園だった。

【暦本純一さんの投稿リモートワークによって、居住地を勤務地とは別に考えられるようになり、それが可能な職種も増えてきた、というのは今更ですがかなり画期的なことだと思います(大げさに言うと人類史上はじめてかも)。記事にならないぐらいにまで一般化していくと社会の様相も変わっていくでしょう。




Think!
ニュースに投稿がつく「Think!」。これまでの投稿一覧と、エキスパートのみなさんのご紹介は次のページから。

【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート紹介】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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