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「45歳定年」論点は 福井健策さんらとThink!

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。10月8~15日のニュースでは、骨董通り法律事務所代表パートナーで弁護士の福井健策さんが「45歳定年」を考察しました。このほか「インドネシア高速鉄道」「TSMCの日本新工場」といったテーマの記事に投稿が寄せられました。振り返ってみましょう。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)

「45歳定年」関連ニュースをThink!

45歳定年論争が迫る「いつかは管理職」幻想への決別(10月11日)
「45歳定年」が物議を醸している。「中高年のリストラを加速させる」との批判がある一方、「高齢化時代の働き方の問題提起だ」と評価する声も出ている。

【福井健策さんの投稿 スペシャリストの育成と雇用のあり方は、いずれも重要な課題ですが、なぜ「早期退職=専門家が育つ」のか、よくわかりませんでした。両者は必ずしもセットではありませんね。「かえって長期的視野で専門家育成できない」「定年でやむなく専門外に転職」といった可能性もあるからです。人生100年時代で世界の先頭を走る日本ですから、雇用のあり方で正解の決め打ちは危険です。社会でおこなわれている様々な試みのプロとコンを見極めて、各社が最善の選択肢を探ることが大切に思えます。他方、専門家の育成についてはそれとは別に、現在の日本で例えば大学がその受け皿になり得ているか、そういう点検と「場」の育成こそ必要に思えました。

「インドネシア高速鉄道」関連ニュースをThink!

インドネシア高速鉄道、中国案のツケ 費用が膨張(10月14日
中国が主導してインドネシアで建設が進む高速鉄道の計画をめぐり、ジョコ大統領は6日、国費の投入を可能にする改正大統領令を公布した。

【青山瑠妙さんの投稿「コストが安く、工期も短い」は中国請負工事の謳い文句である。しかし工事開始後にコストが膨らみ、工期が延長される事例も多く、今回のインドネシア高速鉄道はその一例に過ぎない。日本が入札する際には「事業の持続可能性を重視したODAの質の高さや透明性」を訴えることも重要であるが、「事前のフィジビリティスタディの綿密さ、工期の確実性」を強調するほうが東南アジア諸国に響くのではないか。

「TSMCの日本新工場」関連ニュースをThink!

TSMC新工場に政府補助 経済安保と公正さ、両立課題(10月15日)
半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が日本に工場を建設する。日本政府は投資額の最大半額ほどを補助金で支援する。

【渡部恒雄さんの投稿 WTOルールとの整合性も重要ですが、記事の指摘のとおり、イエロー補助金に対する提訴はあまり現実的なリスクではないと思います。むしろ気を付けるべきは、イエロー補助金などが世界で常態化して、大きな意味での公正な競争ルールが損なわれることでしょう。それは長期的に健全な経済成長を損なうリスクがあると思います。一方で安全保障上の懸念のある案件に関しては、適切な対処をしていかないと、それはそれで成長の阻害要因となるでしょう。経済安全保障の難しさは、成長と安全を両睨みした難しいかじ取りが求められることにあるのだと思います。

「衆院選公約」関連ニュースをThink!

与野党、成長なき大盤振る舞い 賢い支出・改革の競争を(10月15日
与野党は31日投開票の衆院選に向け、経済政策で競うように「分配」を掲げる。国全体で稼いだ富を、もっと中間層や低所得者に配るべきだとの主張だ。

諸富徹さんの投稿】 アベノミクスでも賃金水準は停滞、政府が賃上げを要求するという異例の手法を取った。なので、岸田首相が分配に焦点を当てるのは理解できる。しかし、分配による成長は短期的に成功しえても、長期的な成長を保障しない。資本主義が「非物質化」し、脱炭素化とデジタル化が加速する中、産業構造転換による成長をいかに図るべきかという課題と向き合わなければならない。それには人的資本への投資とインフラ刷新が必要だ。矢野財務事務次官の問題提起を転じて、成長に資する「ワイズスペンディングとは何か」を議論すべきだ。「米国雇用計画」の50%、「EU復興基金」の30%が脱炭素化インフラ投資だ。欧米は将来の脱炭素成長を見据えている。

「IEAの世界エネルギー見通し」をThink!

実質排出ゼロ「年450兆円の投資必要」 IEA見解(10月13日)
国際エネルギー機関(IEA)は13日公表した世界エネルギー見通しで、脱炭素に向けて年間4兆ドル(約450兆円)の投資が必要との見解を示した。

【小山堅さんの投稿 気候変動への対応はエネルギー利用の在り方を劇的に変える「ドライバー」になる。2050年に世界がGHG排出実質ゼロになるとする場合の、IEAの分析による年4兆ドルの必要投資額はそれが如何に巨大な挑戦なのかを示唆する。経済発展段階や所得水準、エネルギー資源賦存状況、技術発展などの面で世界は多様だ。先進国においてさえも容易ならざる挑戦となる実質排出ゼロは途上国にとっては未曽有の困難さを伴う目標になる。世界が協力して気候変動防止に取り組む必要があるが現実には各国の、そして先進国と途上国の立場には隔たりがある。COP26も気候変動に伴う南北問題の先鋭化をどう回避し克服するか、が重要なポイントになる。

「家庭教師のトライ買収」をThink!

家庭教師のトライ、英ファンドが1100億円で買収(10月11日【イブニングスクープ】
英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズは、「家庭教師のトライ」を手がけるトライグループ(東京・千代田)を1100億円程度で買収する。

【森幹晴さんの投稿 トライは丁寧な指導での学習体験を売りとしながら、CVC買収後はデジタル投資を進めるという。教育事業は「体験」や「デジタル」といった、GAFAのビジネスモデルとも共通する要素と相性がいい。例えば、アップルのiPhone、アマゾンプライムなど、製品やサービスを通して他では得られない体験を売り、AIやデジタルなど情報利用を進め顧客満足を高める。そこで得た利益を再投資して、自動運転やEV、AWSサービスなど既存の業界の垣根を越えて増殖していく。CVCはトライとの組み合わせでどこまで目指すのか、学習塾業界の再編でとどまるのか、旧来型の学習塾ビジネスを超えた新事業につなげるのか、大変面白い案件だ。


Think!
平日のニュースに投稿がつく「Think!」。これまでの投稿のまとめ読みと、エキスパートのみなさんのご紹介は次のページから。

【投稿まとめ読み】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート一覧】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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