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デルタ型へのワクチン効果は 高橋祥子さんらとThink!

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。8月6日~13日のニュースでは、生命科学者でジーンクエスト代表取締役の高橋祥子さんが「デルタ型へのワクチン効果」を読み解きました。このほか「東京五輪閉幕」「月面資源のビジネス利用」といったテーマの記事に投稿が寄せられました。振り返ってみましょう。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)

「デルタ型へのワクチン効果」関連ニュースをThink!

デルタ型予防、ファイザーよりモデルナ製有効か 米研究(8月12日)
米大手医療機関メイヨー・クリニックが、中西部ミネソタ州で約7万7千人を対象にデータを分析し、ファイザー製とモデルナ製の有効性を比較した。重症化を防ぐ観点ではともに高い有効性を維持したという。

高橋祥子さんの投稿】 このような報道がなされる場合に、情報源が何かも合わせて報道されるべきだと思います(ロイター記事には記載あり)。読み手も、今回の発表はmedRxivというインターネット上に発表されるプレプリントの論文であり、第三者による査読がなされていない観察研究の速報だと認識した上で捉える方がよいと思います。

medRxivの本文を見ると、2つのワクチンの違いについて、またそのメカニズムの検証やさらに大規模で多様な人種集団での検証の必要性にも言及されていますが、両方のmRNA COVID-19ワクチンが感染・重症化に対して強力であることが強調されています。ファイザーだから接種しても意味ないと誤解されぬよう。

「東京五輪閉幕」関連ニュースをThink!

五輪閉幕、首相「開催国の責任果たした」 国民に謝意(8月9日)
菅義偉首相は8日に閉幕した東京五輪について「開催国としての責任を果たし、無事に終えることができた」と評価した。「国民の理解と協力のたまものだ。心から感謝申し上げたい」と謝意を示した。

詫摩佳代さんの投稿】 オリンピックが無事閉会式を迎えることができたことは何よりです。他方、東京五輪をめぐる一連のゴタゴタは、スポーツの祭典そのものを巡るものというより、「国民の理解と協力」を得るための政府の姿勢を巡るものだったように感じます。

東京に緊急事態宣言が出ている基準に照らせば、世界最大規模のイベントを開催できる状況ではない。それでも開催するのはなぜか。五輪と国内向けで感染予防対策で基準が異なるのはなぜか。こうした様々なダブルスタンダードについて、予め「国民の理解と協力」を得られるまで、政府が国民に向けて丁寧に説明する必要があったでしょう。東京五輪は日本の民主主義の課題を明るみにしたように感じました。

渡部恒雄さんの投稿】 1964年の東京オリンピック当時の高度成長期の日本と比べれば、ある意味、社会が成熟して、一枚岩の賛成ではなく多様な意見の下でのオリンピック開催でした。その状況下で、コロナ感染対策、サイバー攻撃を含むテロ対策などからの複合的な危機管理を行い、大きなトラブルを起こさなかったことは重要な成果だったと思います。

このことが首相から強いメッセージとして世界に発信されるべきだったと思います。オリンピック開催時の危機管理の成功と失敗を率直に反省して今後に生かすことが重要でしょう。

「月面資源のビジネス利用」関連ニュースをThink!

月の水探査で産官学連携 エネルギー源への活用探る(8月10日【イブニングスクープ】)
東大や横河電機、国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)などは2021年秋にも月の資源開発に向けた産官学のコンソーシアム(共同事業体)を設立する。政府が25年度にも始める月面の水探査に向け、採掘などの技術や機器を共同研究する。

鈴木一人さんの投稿】 このコンソーシアムが出来る前身となる月面産業ビジネス協議会にアドバイザーとして参加し、月面産業ビジョンにもコメントした。大変多くの企業が参加し、月面ビジネスへの熱意を感じたが、ビジネスというよりも、会社としての意思を表明し、前向きな目標に向かって活動するということに意義を感じているという印象があった。

しかし、こうしたコンソーシアムが出来ることで、本格的にビジネスとしてやろうとしていることがうかがえる。重要なポイントは、日本が月面に行くための輸送手段を持たず、その手段にかかるコストをどのように制御するのか、ということになるだろう。

「経済政策としてのリスキリング」関連ニュースをThink!

成長のカギ「学び直し」に GDP700兆円底上げ競う(8月11日)
世界各国の政府や企業が働き手のリスキリング(学び直し)に動き出した。労働移動による産業構造の変化が進めば、経済の押し上げ効果は世界で約700兆円に達するとの試算もある。

大槻奈那さんの投稿】 日本では、既存のリスキリング支援制度すら十分に使われていない点も問題です。労働者は終身雇用で守られており学んでも給与等は変わらない、企業側も、学びの効果はすぐ出るわけではない…結果お互い盛り上がらないのが現実と思われます。

更に、日本の支援制度の多くは雇用保険が財源なので、"雇用"されていないフリーランスに手当が行きにくい点も課題。現在日本のフリーランサーは3~400万人と、労働人口の数%。米国の5割程度に比べると少ないものの、年々増加しています。今を犠牲にしてでも中長期的に役立つ技能を習得することは、日本の成長力向上にとって極めて重要。これらの課題と早急に向き合う必要があると思います。

「がん治療中の保険加入」関連ニュースをThink!

がん治療中でも保険加入 MICIN、乳がんなど再発に備え(8月11日【イブニングスクープ】)
富国生命保険や三菱商事が出資するMICIN(マイシン、東京・千代田)は、がんの治療中でも再発に備えて加入できる新たな保険を発売する。最新の臨床データをもとに発病の可能性を分析。乳がんなどの再発に保障を提供する。

【井戸美枝さんの投稿】 保険の基本は、同じリスクを抱える人と人が共に助け合うことにあります。病気というリスクに対応する医療は、公的医療保険により現物給付されるわけですが、病気になると医療だけでなく生活全般に大きく影響を受けてしまいます。要は、病気になるとお金が入り用になるということです。

今回の記事で取り上げられている保険は、現金給付ですので、給付要件が認められれば現金を得ることができます。乳がんなどの再発のリスクを抱える者同士による助け合いの仕組みです。保険本来の役割に注目していきたいと思います。


Think!
平日のニュースに投稿がつく「Think!」。これまでの投稿のまとめ読みと、エキスパートのみなさんのご紹介は次のページから。

【投稿まとめ読み】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート一覧】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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