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ウクライナ侵攻で生活どう変わる Think!投稿で読み解く

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。3月4~11日は、ロシアのウクライナ侵攻による日本のビジネスや生活への影響についての読み解きが多く集まりました。このほか、「韓国大統領選挙」「東日本大震災から11年」といったテーマの記事にも投稿が寄せられました。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)

「ウクライナ侵攻のビジネス・生活への影響」をThink!

原油高騰、140ドルに迫る 世界経済の減速リスク台頭(3月7日)
国際価格であるロンドン市場の北海ブレント原油先物は日本時間7日に1バレル140ドル近くまで急伸する場面があり、2008年7月以来、約13年8カ月ぶりの高値を付けた。

【小黒一正さんの投稿】リーマンショックのあった2008年頃は1バレル150ドルに近づくことがありましたが、円ドルレートは80円でした。これは円換算で1バレル12000円近くに到達したことを意味しますが、何とか日本経済は耐えることができました。日銀の異次元緩和の影響もあり、いまは1ドル115円で、1バレル140ドルですので、円換算では1バレル16100円で、既に12000円の1.34倍になります。ロシアのウクライナ侵攻が大きな影響を及ぼしていることは明らかで、今回の危機を乗り切れるためにも、トリガー条項の発動検討を含め、政府は知恵を絞る必要があると思います。

小山堅さんの投稿原油価格がついに130ドルを一時的に突破した。ブリンケン国務長官が「米欧でロシア原油の禁輸について話し合った」との報道など、禁輸の動きを受けて市場が反応したものだ。いよいよロシアのエネルギー輸出における供給支障・途絶の可能性が高い、ということに相場は敏感になり、こうしたニュースで原油価格やガス価格が一気に上がる構造になっている。原油価格やガス価格が大幅に高騰すれば、欧米自身も、世界全体も大きなダメージを受けるが、それすら覚悟で強力な圧力をロシアに掛けようとしているように見える。これにロシアは次の一手をどう打つのか。「核の脅し」さえ口にするロシアが何をするのか、非常に懸念されるところである。

ロシア撤退・縮小、主要企業200社超 侵攻の制裁に呼応(3月8日)
ロシアによるウクライナ侵攻と欧米諸国の制裁を受けて、ロシア事業を見直す企業が目立っている。米エール大の集計では、ロシア事業の撤退や縮小を表明した主要企業は200社を超えた。

【鈴木智子さんの投稿】先日、ロシア事業の停止を発表したアメックスは、基本理念の一つに'Do What is Right'(「正しいことをします」)というものがあり、その原則に基づいて行動すると述べています。欧米では、パーパスやミッション・ビジョン・バリューで言っていることと、実際の行動に矛盾があると、一貫性がないとして批判され、ブランド価値が下がってしまいます。ロシアで事業を続けることで企業のパーパスが問われ、消費者や投資家の選択対象から外れてしまうリスクがあると判断されたと考えられます。理念や価値観の真意が、改めて問われています。

JCB、ロシア事業を停止へ 米カード大手と足並み(3月8日)
ジェーシービー(JCB)は8日、ロシアでのカード決済取引を停止すると発表した。14日以降の停止を予定している。

【鈴木一人さんの投稿】クレジットカードによるサービスは銀行間の金融決済が止まってしまうと、オペレーションはかなり難しいサービス。2014年のロシア制裁では銀行や金融機関が直接対象ではなかったため、サービスを継続することができたが、現在の状況になればかなり難しい。VISAやMastercardに比べ、中国の銀聯やJCB、Amexなどは相対的に柔軟な対応ができるかもしれないが、ここまで幅広く金融機関が制裁の対象となると、さすがに無理だろう。なお、一部にクレジットカード会社がロシアへの批判のために撤退するという評価をする向きもあるが、そうしたイデオロギー的な理由よりも、現実問題としての業務遂行の難しさが強いと思う。

ウクライナ危機が揺らす食卓 海外依存に「3つの9割」(3月9日)
ロシアとウクライナは世界の小麦の輸出量の約3割を占める農業大国だ。ウクライナ情勢の緊迫と欧米のロシア制裁で両国からの輸出が滞り、小麦の国際価格は3月に入って過去最高値圏をつけた。

【伊藤さゆりさんの投稿】EUは米英と足並みを揃えてロシアに厳しい経済制裁をかけ、武器供与や難民受け入れなどでウクライナを支援しながら、ロシア産エネルギーを直ちに断ち切ることができず、ロシアに戦費を供給する大いなる矛盾に陥っている。大打撃覚悟の上で、ロシア産エネルギー離れせざるを得ない時も近づいているように思う。

EUも長期的には脱炭素化の文脈で脱ロシアを進める方針だったが、歩みが遅く、結果としてロシアの軍事力増強を許す痛恨の過ちを犯した。

日本の食品の海外依存は、ある程度代替がきき、調達先が専制国家に集中する状況ではなく、欧州ほど深刻な事態にはならないと思うが、欧州の教訓をたたき台に議論が進むことは望ましい。

ロシア事業停止・撤退なら外資の資産接収も プーチン氏(3月11日)
ロシア政府は、ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシア事業の停止や撤退を判断した外資系企業の資産を差し押さえる検討に入った。

【柯隆さんの投稿】ロシアから一時撤退した外国企業は自らが資産・資材を処分していないのに、ロシア政府はそれを強制的に国有化すれば、スターリン時代への逆戻りを意味するものであり、ロシア経済がグローバル経済からの分離を自ら選んだことになる。ウクライナを占領できるかもしれないが、プーチンの代でロシアの栄光は実現できなくなる。しかし、こういう暴論まで出ているというのは、ウクライナ侵攻が相当手詰まりしているのではないかと推察される

「韓国大統領選挙」をThink!

韓国大統領に尹錫悦氏 5年ぶり保守政権に(3月10日)
9日に投開票された韓国大統領選で10日、保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補が当選した。

【木村幹さんの投稿】今回の選挙では各種世論調査で、尹錫悦の基礎票となる保守派が、李在明の基礎票となる進歩派より明らかに多く、本来ならこの差がそのまま両者の得票差になる筈でした。ふたを開けて見ると大接戦になったのは、尹錫悦の「アンチフェミニズム路線」に反発した、20代から30代の女性票が李在明に流れたから。もう少しで「勝てる選挙」を落とす所でした。

現段階では尹錫悦の支持基盤は決して強くなく、国会では現与党が2/3の圧倒的多数を占めています。その協力がなければ、国務総理をはじめとする閣僚の任命ができず、内閣すら組む事ができません。強面の姿勢を改めて如何にして「国民統合」へと進むのか。難しい政局運営が続きます。

【深川由起子さんの投稿】前政権の弾劾で成立した文在寅政権は「親北基軸しかないアマチュア集団」と批判されることが多く、その負の遺産は巨大です。ですが、それでも2021年も4%成長を達成、コロナ禍で生み出されたユニコーン企業は18社(2021年末現在)、今やその雇用は4大企業グループを上回ります。日本はどれだけのユニコーン企業を出せているのでしょうか。かまびすしい政治や感情論とは別の複眼が必要です。

「東日本大震災11年」をThink!

東日本大震災11年 津波の記憶、VRでつなぐ(3月11日)
東日本大震災の発生から11日で11年となった。時の経過とともに震災の経験を未来につなげる語り部たちは年を重ねていく。教訓をどう継承していくかはどの災害にも共通する課題だ。近年は記憶の継承に、仮想現実(VR)の新たな技術が一役買う。幼かった被災地の子どもたちも「風化させたくない」との思いから、次世代の語り部へと手を挙げている。

【中空麻奈さんの投稿】もう11年になるのか。つい昨日のようでもあるが、実際に被害にあった方々のご苦労は如何ばかりだったろう。日本全体が毎年こうした思いを馳せることは重要だ。そして、同時に、日本は自然災害が多いということに意識を向け、国土強靭化や災害の際の余裕を持つ上で重要となる健全財政など、今のうちに果たしておくべき課題に向かっていく決意とすべきであろう。気候変動で雨が通る道が変わったとか。集中豪雨による河川の氾濫は残念ながら、繰り返されている。絶対に来てほしくないが、でも、南海トラフも、首都直下型地震も、富士山爆発も"いつか"来てしまう災害なのであろう。大切な今日という日は、"念には念を入れ"の日でもある。

【高島宏平さんの投稿】今日はどうしても東北についてコメントしたかったので、こじつけ的ですが。

東北の復興の現場に度々訪問して感じるのはこの地域の若者の元気の良さ。農業漁業や食品業に関する起業の数は圧倒的に多いのではないかと感じ、若い起業家達が新しい発想でテクノロジーを使ったり文化を創ったりしていてブルックリンのようにも感じます。大学生と話をしていても、将来の夢として地元の町長や市長を公言する人も多く、新しい街づくりの主役を担う気概に溢れています。11年前に日本で最も悲惨なダメージを受けたこの地域から、未来の日本のモデルケースとなる新しい成功事例が多く生まれそうな予感がします。


Think!
平日のニュースに投稿がつく「Think!」。これまでの投稿一覧と、エキスパートのみなさんのご紹介は次のページから。

【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート紹介】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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