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自分の「好き」を発信、キャリアにもプラス

サイバーエージェント専務執行役員 石田裕子さん

think!多様な観点からニュースを考える
第一線で活躍するビジネスパーソンたち。彼らは何を目的に情報に触れ、味方につけているのでしょうか。サイバーエージェントで専務執行役員を務める石田裕子さんは、「アウトプット」を実践したことで「インプット」の質が高まったと話します。石田さんが実践する「一目置かれる情報活用術」を聞きました。

仕事とインプットをつなぐ

私はサイバーエージェントで、採用部門の担当をしています。かつては営業統括、子会社2社の社長も経験しました。若いころ、特に20代のころのインプットと、発信する場を得た今のインプットでは、大きく質が異なっていると感じています。

情報のインプットの1日の流れはほぼ決まっています。朝の通勤時間、午前7時30分から8時30分ごろにニュースサイトを中心にインプットをします。今、私は定期的に外部メディアを通じて発信していることもあり、アウトプットを意識した情報収集をしています。

メディア等で発信するわけではなくても、そのとき気になったニュースなどをチームで日常的に話す機会も多くあります。特に今、採用部門を担当しているので、就職活動に関するニュースはよく見ています。仕事と分断すると情報のインプットは続きません

情報収集で意思決定の精度を上げよう

私は30代半ばから、機会がありメディア等を通じた発信を始めました。今、自分の言葉で発信するアウトプットがあってこそ、最大のインプットにつながるということを実感しています。アウトプットを習慣化できていなかった20代のころは、本をただ読んだりニュースを見たりして、インプットした「つもり」になっていました。

外に発信すると、ほかの人からの反応で、自分の視点に欠けていた部分や、新しい意見を目の当たりにします。正解、不正解ではないですが、ある種のアウトプットの「失敗」を繰り返すことで、インプットの精度を高めていくことができました。

日々のこうした習慣は、間違いなく意思決定の場面や、何かを選ぶときに生きてきます。意思決定の精度をあげるには、判断材料になる適切な情報を集めることが不可欠です。私が今も「インプット」と「アウトプット」の習慣を続けているのは、長期的な視点で見ると、仕事に役立つことを知っているからです。

自分の得た知識、情報、ノウハウなどを自らや自社に置き換えてみると、自分の仕事につながります。情報が増えると選択肢が増え、人とのネットワークも増えていく。自分が発信した情報が、誰かの役に立つこともある。人生がより豊かになります。

仕事において、部下・上司の関係であっても、社外のお客様が相手でも、信頼関係を築くためにコミュニケーションは不可欠なものです。「自分はこういう分野に詳しい」「熱意がある」というメッセージを発信し続けていると、キャリアにプラスに働きます発信していくうちに自身の「好き」や「得意」がはっきり見えてくることもあります。ビジネスにおける信頼関係を築く上で、アウトプットは強い味方になります。

自分なりの目標の立て方を見つけよう

「1日10分、インプットに時間を取ろう」。たとえばそう目標を決めたけれど、日々の業務に追われて達成できなくなり、自分で落ち込んでネガティブになってしまう、というケースがあります。悪循環でもっともよくないパターンです。

目標は1分でもいい。時間は捻出するものだと思っています。1分のなかで何かをインプットし、自分の頭で意見を考えるだけでも立派なアウトプットです。2日に1度と決めたなら、それでもいい。大切なことは、自分のインプットの目的をしっかりと定め、どのやり方が自分に合っているかを探すことです。

私の場合は、月に2度の発信をする、ということを決めているので、目標にあわせて予定を立てています。目標を決めてスケジュールを作ることが、私の性格に合っていることがわかったからです。

アウトプットで成長を実感しよう

ブログやSNSで発信することだけがアウトプットではありません。たとえば、ニュースを読んで隣の席の人と会話することもアウトプットです。仕事でお客さんや同僚と話すとき、つまり仕事の通常業務もアウトプットなので、その習慣は誰にでも身についています。

一歩進んで、勉強会に行ったり、本で新しい知識を得たりしたとき、なんらかの形で書き留める、誰かと話す、ということを習慣化してみるのもいいでしょう。私自身、過去の発信を振り返り、今の自分と比べて成長を感じることがあります。成長を実感できること、これもアウトプットの醍醐味ですね。

石田裕子(いしだ・ゆうこ)
慶応義塾大学総合政策学部卒業後、2004年新卒でサイバーエージェントに入社。広告事業部門で営業局長・営業統括に就任後、メディアプロデューサーを経て、13年及び14年に2社の100%子会社代表取締役社長に就任。16年より執行役員、20年より専務執行役員に就任。人事管轄採用戦略本部長兼任。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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