「大坂選手の全仏棄権」をThink! 為末大さんらミニ解説

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。5月28日~6月4日のニュースでは、元陸上選手/Deportare Partners代表の為末大さんが「大坂なおみ選手の全仏棄権」を読み解きました。このほか「量子技術を巡る競争」「新興企業の資金調達」といったテーマの記事に投稿が寄せられました。振り返ってみましょう。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)
「大坂なおみ選手の全仏棄権」関連ニュースをThink!

【為末大さんの投稿】 とにかくゆっくりして休んでほしいです。国際プロサッカー選手会のアンケート調査では現役サッカー選手の38%が不安障害や鬱症状を示したことがあるという結果が出ました。一般の方が13-17%だということを考えるとかなり高い数字です。
心身ともに強靭なイメージがあるアスリートですが、実際には日常的に強い重圧に晒されおり精神的に不安定です。自分の人生を振り返っても五輪前はとても不安定でした。心は目に見えないために乱暴に扱われがちですが、心が壊れたらどんな目標も計画も意味をなしません。
大切なことは心にも体力があり消耗するという認識を持つこと。不安を感じたらとにかく相談することの徹底だと思います。
「量子技術を巡る競争」関連ニュースをThink!


【黒田忠広さんの投稿】 大量のケーブルが露わになった量子コンピュータは、初期の電子式コンピュータに似ています。
配線接続を一括してコピーできる半導体集積回路が発明されたのが1958年。コンピュータは半導体と出会って以来、急速な進歩を遂げました。
コンピュータが電子式から量子式に進化しても半導体チップは必要です。ただし、マイナス273度の極低温で動作しなければなりません。そこには私たちがまだ知らない新しい物理があります。量子コンピュータは半導体を進化させる新素材の発見にも役立つでしょう。コンピュータと半導体の協演は続きます。
「AppleのROE」関連ニュースをThink!


【楠木建さんの投稿】 とても良い記事。ROE=稼ぐ力の質とありますが、数値が高ければいいわけではなく、ROEにも質の優劣があると考えます。当たり前ですがROEはR/Eという分数。分母を小さくする(レバレッジ、自社株買い)のもイイのですが、主軸はあくまでもR(利益率)とその持続性であるべきだというのが僕の見解です。
アップルのような例外的高収益企業が理想的なのは当然ですが、コルゲートやロウズ、UPSは分母操作のやりすぎの観あり。日本ではアドバンテスト、中外、エムスリーのROEの質が高い。利益がしっかり出ているソニーも大したもの。これが持続すれば真の好業績企業です。
「新興企業の資金調達」関連ニュースをThink!


【伊佐山元さんの投稿】 シリコンバレーでは昔から「危機がイノベーションを加速させる」と言われるように、世界が混沌として変化しているときに、未来を担うベンチャーへの投資やイノベーションを進めることができなければ、大きな好機には繋がりません。
実際に、2008年の金融危機が起き社会に不安が広がったときに、ピンチをチャンスと考えたグローバルVC業界は投資を加速させ、フィンテックと言われる分野へのベンチャー投資は10年間で1,200億円(2008)から6.9兆円(2018)と5,600%伸び、今日のフィンテックベンチャーの上場や社会での活躍につながっています。今回のコロナ禍でも同じことが起きると考えています。
【投稿まとめ読み】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート一覧】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

各界エキスパートが注目記事にひとこと解説を投稿する「Think!」。電子版会員の皆さんの関心を集めた記事を、Think!の解説とともにまとめ読みできます。
・Think!とは?
・Think!投稿一覧
・【動画】Think!エキスパートと考える「2022年のワークシフト」