つみたてNISA対象投信、すべてが含み益に
投信観測所
2018年1月に始まった積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)。そこから3年半の間に何度かの世界的な株安に見舞われ、制度を利用して投資信託を買った人は含み損を抱える局面もあった。それでも元本割れを気にせず、淡々と積み立て投資を続けた人は一定の成果を手にしている。
積み立ての成果、投資対象別にランキング
つみたてNISAでコツコツ積み立て投資を続けた場合、どれくらい成果が出たか個別のファンドごとに振り返ってみよう。対象は国内公募の追加型株式投信(上場投資信託=ETFを除く)のうち、18年1月末時点でのつみたてNISAに採用されていたファンド。18年1月に積み立てをスタートし、21年6月までの42カ月にわたり毎月月末の基準価格で買い続けたケースについて、21年7月末時点で評価した。
年間の非課税枠40万円を目いっぱい活用し、毎月3万3333円ずつ購入したことにする。投資元本の合計は約140万円で、21年7月末の評価損益がいくらになったかを計算した。その上でファンドを主な投資対象別に日本株、海外株・全世界株、バランス型の3グループに分け、評価損益の上位と下位の各5本を表にまとめた。

運用成績は「海外株・全世界株」が優位
上位5本の含み益が多かったのは、海外株・全世界株で運用するグループ。首位は「楽天・全米株式インデックス・ファンド<愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式)>」で、含み益は70万円以上と、元本の約140万円がおよそ1.5倍になった。
複数の資産で運用するバランス型は、上位5本の含み益が40万円弱で拮抗した。首位の「eMAXIS 最適化バランス(マイストライカー)」は、国内外の株式を多く組み入れ、価格変動リスクの目標を年率20%と高めに保っている。ほかの4本も株式への投資割合が高いタイプが並んだ。
日本株のグループでは、「コモンズ30ファンド」が40万円近い含み益を上げてトップになった。それ以外の4本はバランス型の上位より含み益が少なかった。
積み立て投資、下落局面でも継続が肝心
今回の試算によると、すべての対象ファンドが3年半の積み立て投資で評価損益がプラスだった。運用成績が最下位だった「東京海上・円資産インデックスバランスファンド<愛称:つみたて円奏会>」でも、3万円弱の含み益を確保した。
つみたてNISAを使って非課税で運用できる期間は最長20年。今回は3年半ほど経過した時点にフォーカスして比べたが、ここまでの間には利用者の大半が元本割れを経験する場面もあった。今回の試算は、相場が下がる逆境でも積み立て投資を続けた人たちにとって将来の資産づくりに向け手ごたえを感じる結果といえるだろう。これから始める人も遅すぎることはない。
(QUICK資産運用研究所 西田玲子)
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