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予想分配金提示型ファンドが残高増加

投信観測所

毎月分配型ファンドの純資産残高が減り続ける一方で、新たなタイプの分配型ファンドの純資産残高が大幅に増加している。

投資家の毎月分配型ファンド離れが止まらないのは、ファンドの組み入れ資産の収益を大きく超えた分配金の支払いについて金融庁が問題視し、金融機関が販売を手控えているのが大きな要因だ。金融庁が「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」を強く求めるなか、金融機関はそうした姿勢を強めている。

とはいえ、投資家の分配金に対するニーズは依然として高く、分配型ファンドが消えていくわけではない。新たなタイプの分配型ファンドとして純資産残高を増やしているのは「予想分配金提示型ファンド」。分配金の金額が控えめで、分配ルールが分かりやすいのが特徴だ。

予想分配金提示型ファンドは、基準価格の水準を勘案して分配金を出す仕組み。基本的に、ファンドの組み入れ資産のインカムゲインやキャピタルゲインから分配する。

例えば、基準価格が1万円から1万1000円の場合、分配金は100円。基準価格が1万1000円から1万2000円の場合、分配金は200円。基準価格が1万2000円から1万3000円の場合、分配金は300円というふうに、基準価格のレベルにより分配金が決まる。分配金が切りの良い金額であり、分配ルールも明確で分かりやすい。

2020年12月末時点の「予想分配金提示型」の純資産残高ランキングの1、2位は「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」のシリーズが並んだ。

「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は、利益成長性が高いと判断した米国株式に集中投資するアクティブファンド。S&P500種株価指数(配当込み)がベンチマークだが、2014年にファンドマネジャーが交代して以降、運用成績が向上した。

ランキングには「野村ACI先進医療インパクト投資」「グローバルAIファンド」の各シリーズが2本ずつ入った。いずれのファンドも海外株式が主要投資対象だ。

毎月分配型ファンドはREIT(不動産投資信託)型、海外債券型が多いが、予想分配金提示型ファンドでは株式型が大部分を占める。

政府は「金融ジェロントロジー」を政策の大きなテーマとして考えている。金融ジェロントロジーとは、「金融」と「老年学」を組み合わせた新たな学問であり、米国で研究が進んでいる。

「人生100年時代」といわれるように高齢化が進む日本においては、金融ジェロントロジーの観点でいかに「資産寿命」を延ばすかが課題となっている。ファンドがリターンを上げて分配金で基準価格が大きく下がらないということは、資産寿命を延ばすことにつながる。

フィデューシャリー・デューティー重視の流れを受けて、運用実態に即した分配金を出すファンドが増えてきた。とはいっても、「ファンドの分配金」は「ファンドの実力」とは

違う。ファンドは分配金を出すと、その分だけ基準価格が下がる。ファンドの分配金の高さだけでなく、基準価格の値動きとの両方を見ることが大切だ。

(QUICK資産運用研究所 清家武)

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