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日本株高、米国でも認識広がる 良質マネー流入の兆し

日本株に対する米国人の一般投資家の姿勢に明らかな変化の兆しがみられる。今週月曜日まで日本株ラリーについて無関心だったが、ここにきて「ワオ!」「レッドホット(熱い)ラリー」など新鮮な驚きが一部で噴出し始めている。長らく外国人投資家の冷ややかな反応に接してきた筆者にしてみれば、これは興味深い変化の兆しである。

ひとたび興味が湧けば、彼らはネットで関連データを集めて吟味し始める。「解散価値に近い企業がゴロゴロ。まるでデパートのバーゲン会場みたい」という素直な反応もある。

機関投資家も変わってくる。米国株が調整局面入りするかの見極めに追われて、新たな運用対象など考える余裕もなかった。それが、今の状況にも慣れたところで、日本株高が「空から降ってきた」かのごとく彼らのレーダー圏内に入ってきた。その上げっぷりと割安感は、彼らの今の心境に響く。次期首相が誰になろうと「とんでもない政治的失態をしかねない人物」でなければ、彼らにこだわりはない。あらさがしをすればきりがない。割り切っている。

もちろん一夜にして外国人投資家の日本株への興味が激増したわけではない。これまでゼロに近かった関心度に火がついた程度だ。とりあえず、日本時間15日は、これまで買い上げてきた短期投機ファンドの売り戻しもみられそうだ。今後、日本株ラリーがネットで欧米の間に拡散されてメディアの扱いも増えると、徐々にオーソドックスな運用スタイルのファンドからの日本株買いも期待できる。

これまで日本株を売買してきたのは投機的ファンドが主力だ。彼らに席巻される限り、ゼロサムゲームにすぎない。「招かざる客」である。これからの日本株に必要なのは、長期保有の良質な投資マネーだ。

年金基金、大学基金、政府系ファンドなどで、こうした投資家は次期首相の掲げる政策の「躍動感」を求めてくる。短い準備期間でアベノミクス並みのインパクトある政策パッケージをまとめるのは難しいが、市場は期待で動く。投資家のアニマルスピリッツを刺激するような内容であれば市場は動く。

株式のファンダメンタルズである企業業績は、日本企業も決して悪くない。見過ごされてきただけだ。

降ってわいたような菅義偉首相の退陣表明から始まった日本株ラリーは、チャートをみれば荒っぽい展開だが、日本株にとって大きなチャンス到来となったことは間違いない。期待先行で過熱サインが点灯した時期に、感染者の減少が顕在化するという「めぐり合わせ」にも恵まれた。相場は多少のツキも重要なのだ。

市場を荒らす外資系ファンドの動きに惑わされず、しっかりと見極める姿勢は個人投資家にも求められる。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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