「むーちょ」さん、還暦後にも挑むインデックス投資 - 日本経済新聞
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「むーちょ」さん、還暦後にも挑むインデックス投資

投信ブロガー

ブログ「インデックス投資家の老後生活<準備編>」を運営する「むーちょ」さんは埼玉県に住む64歳の男性。東証上場の印刷会社を36年勤め上げ、運輸倉庫関連の子会社への転籍を経て昨夏にサラリーマン現役生活を引退した。

30歳代の子ども2人は結婚して独立しており、現在はパートタイマーの妻と2人で、持ち家(マンション)で暮らしている。ハンドル名の「むーちょ(Mucho)」はスペイン語で「とても」を意味するそうだ。

指数に連動するインデックス投資を実践しながら、そこそこ楽しく幸せな老後生活を送っていることをブログで発信し、「多くの人、とりわけ若い人にインデックス投資の優位性を伝えたい」と話す。むーちょさんの資産運用と出口プランを聞いた。

個別株からインデックス投資へ

――投資を始めたのはいつごろですか。

「株式投資をしていた母の影響で、サラリーマンになってすぐに始めました。40年ほど前です。最初は何がいいのか見当がつかないまま日本株を短期売買し、一喜一憂していました。投資信託に関心が向いたのは2008年のリーマン・ショックの後、09年の春ごろです」

――ブログを始めたのはいつごろですか。

「18年7月からです。いつかブログを立ち上げたいと思っていましたが会社業務に追われていたため、関連子会社に移って時間的余裕ができてから取り組みました」

「ブログは毎日更新するのを目標にして、気楽に読めて役に立つ情報を短い文章で伝えられるよう心掛けています」

一般NISAで毎月10万円の積み立て投資

――現在の資産額と収益額を教えてください。

「概算ですが、リスク資産は投信1100万円、米国のゼロクーポン国債300万円、金(現物)200万円の計1600万円あります。ほかに、母が残した電力株をほんの数株ですが形見として手放さず、勤めていた会社の従業員持ち株も株主優待が魅力なので少しだけ保有し続けています(22年11月末時点)」

「無リスク資産は個人向け国債500万円、定期預金700万円、普通預金600万円の計1800万円です。5年前に退職金を受け取り、住宅ローンを完済した残りをまず定期預金と普通預金に預けました」

「投信の収益額は200万円程度でリターンは20%強です。米国債の時価は円安効果もあり倍増しました。リターンはあまり気にしていないのですが、新型コロナウイルスショックの時はどうなることかとさすがにビビりました。普段は動揺を避けるため証券口座を頻繁に確認しないようにしています」

「最初はインデックスファンドとアクティブ(積極運用)ファンドの違いや信託報酬の意味も分からず、長期保有しないで短期売買していました。毎月分配型投信にも投資しました」

「現在保有している投信はバランス型を中心としたインデックスファンドがほとんどですが、無知な頃の戒めとして高コストのアクティブファンドも5万円ほど記念に持ち続けています(図A)」

――少額投資非課税制度(NISA)は利用していますか。

「一般NISAをフル活用し、今は退職金を取り崩す形で毎月10万円の積み立て投資を続けています。来年で非課税枠600万円を上限まで使い切る予定なので、それ以降は積み立て投資の継続はやめます。現役時代はNISAに加えて、月5万5000円を特定口座で積み立てていました」

「3歳年下の妻も投信を250万円ほど保有しています。インデックスファンドが主体ですが、アクティブファンドにも積み立て投資中です」

リーマン・ショック時の損失額をリカバリー

――資産運用をしてよかったですか。

「とてもよかったです。資産運用を続けることで老後生活の安心感を得られたのが大きいです。現役時代から日本経済新聞(現在は紙面と電子版)を愛読しており、経済や社会の情勢をしっかり理解しながら資産運用に役立てています」

「本当に資産運用が成功したかどうかの判断は、来年65歳で完全年金生活に入った時まで持ち越し、その時にブログタイトルの末尾を『準備編』から『実践編』に変更します」

――失敗談を教えてください。

「リーマン・ショックの際、個別株投資で200万円の損を出しました。ただ、この経験が投資先を投資信託に切り替えるきっかけとなりました。株式投資の大幅下落には耐えられないと自覚できたためです。しかも、その後に始めたインデックス投資の利益で、この時の損失はリカバリーできています」

70歳以降も取り崩しながら運用継続

――いつまでインデックス投資を続けますか。

「65歳になるまでは特別支給の老齢厚生年金を月11万円ほど受け取り、預貯金を取り崩しながら生活します」

「年金の繰り下げ受給は選択しないので、65歳から年金が満額支給(月22万円ほど)されます。もらえるものは早くもらうという主義です。妻が65歳になるまでは加給年金も加算されます。旅行などの追加出費は米国債や日本国債を取り崩して充当するつもりです」

「70歳以降は特定口座のインデックスファンドから取り崩します。不足分は預貯金で補い、NISA枠で購入した分はできるだけ長く運用し続けるつもりです」

――これから資産形成に踏み出す方にアドバイスを。

「非課税制度が充実してきた今、これから長期投資できる若い方々が羨ましい限りです。ノーロードで信託報酬が安価なインデックスファンドであれば違いはそれほどないので、毎月少額でも『早く投資を始め、長く続ける』ようお勧めします」

「もっとも、子どもたちにも『インデックスファンドで早くから積み立て投資を始めたほうがいいよ』と口酸っぱく言い続けているのですが、なかなか響いてくれないのが悩みどころです」

「インデックス投資を本格的に始めるにあたり、インデックス投資家の方のブログがとても参考になりました。憧れの投信ブロガーになった今は、私のブログもこれから投資を始める方々の何かのヒントになればうれしいです。インデックス投資については『インデックス投資』というカテゴリーにまとめています」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は西本ゆき、高瀬浩)

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