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米国は本当にインフレ?株価急落には違和感

4月の米国の消費者物価上昇率4・2%という数字は、ほとんどの市場関係者が想定していなかった。12日の米国株は急落したが、マーケットはまだ消化しきれていない。

12日の米国債券市場では10年債利回りが一時、4月5日以来となる1・7%台に乗せる場面もあった。結局、前日比0・07%高い(価格は安い)1・69%で終えている。

プロの視点では、物価連動国債から算出される今後10年間の予想インフレ率(BEI)が2・56%(年率)と前日から0・03%の上げにとどまった方が重要だろう。結局、名目金利の上昇幅が予想インフレ率の上昇幅を上回り、12日の実質金利は上昇した。

そもそもインフレとなれば、実質金利は低下するものだ。それゆえマーケットは、まだインフレ到来を信じ切れていない。心理的にインフレの足音におびえている状況にとどまっている感じだ。

「インフレは一時的」との見解をかたくなに固持する米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も、隠然とした影響力を維持している。株価急落の背景も、漠然とした「インフレ」イコール「テーパリング(金融緩和の段階的縮小)」という不安が異常に増幅されている感がある。

長年続いた経済のディスインフレ体質が本当に変わるには、まだ相当な時間が必要だろう。消費者物価上昇率の4%台が3カ月も続けば、いよいよインフレへの潮目の変化となるかもしれない。それまでは、まだ要経過観察の段階である。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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