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次期大統領はトランプ氏? ウォール街には隠れ支持派も

ニューヨークのウォール街では、6日に開催されるはずだった政治イベントに市場関係者たちがひそかに身構えていた。トランプ前米大統領の記者会見だ。6日は米国議会襲撃事件から1年にあたる。バイデン米大統領の支持率が低下するなかで、トランプ氏が何を言い出すのか。中間選挙を控える政治家だけでなく、市場関係者も大いに気になるところであった。

ところが、日本時間5日になって、トランプ氏は突然、記者会見をキャンセルした。政治的には、多くの米共和党議員がこの件にコメントを避けていた。共和党の次期大統領候補に関する調査では、トランプ氏の名前が断トツで有力視されている。昨年12月のロイターによる調査では共和党員の54%がトランプ氏を支持し、2位につけるデサンティス・フロリダ州知事の11%を引き離している。しかし、議会襲撃を扇動した疑惑や節税疑惑などトランプ氏には灰色のイメージが付きまとう。

とはいえ、トランプ支持の共和党員は依然として多く、中間選挙の候補者には「トランプ・チャイルド」の名前が目立つ。共和党の議員は、清濁併せのむ現実的な対応を強いられる。

非営利で良識派メディアとされるPBS(公共放送サービス)でキャスターが「訴訟まみれでグレーな存在のトランプ氏が本当に次期大統領候補になるとは、到底信じがたい」と指摘したのに対し、あるコメンテーターは「トランプ氏が次期大統領候補になるなどあり得ないと語る人は、両目を手で覆って私には何も見えないと言っているに等しい。米国の政治の実態が理解できていない」と応じた。このコメントが印象に残る。

市場からの視点は、もっと複雑だ。ウォール街には「隠れトランプ支持派」が少なくない。トランプ氏はとにもかくにも、株高を歓迎する。法人税も減税した。規制も緩和した。ウォール街を金持ち、エリートの象徴と位置付け、株価と距離を置いて規制強化には熱心なバイデン氏との差は鮮明だ。中間選挙を巡っては民主党有利というより、今や民主党が何議席減らすか、その負けっぷりの度合いが注目されるほどである。隠れトランプ派は、ひそかに期待感を抱きつつ情勢を見守っている。

当のトランプ氏は自らが「フェイクメディア」と批判する相手との記者会見は避け、中間選挙の応援に徹する姿勢だ。「諸君の私への期待感は分かるが、中間選挙の結果を見てからでも遅くはあるまい」とも語っている。2022年も、米国市場はトランプ氏の呪縛から解放されていない。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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