低価格プランも増えたスマホ 子どもに持たせるなら
子どものお金

最近の子どもは、小学生のころからスマートフォン(スマホ)を持っています。高学年になると、多くのお子さんがスマホを持っているように感じます。
スマホを持たせると、SNS(交流サイト)関連のことなどで友人間でトラブルが生じるおそれもあり、「持たせたくない」と思っている親御さんもいらっしゃいます。ですが、対話アプリの「LINE(ライン)」などをクラスの連絡網のように使うこともありますし、コミュニケーションツールを使えば家族間の連絡もスムーズ。そんなメリットを考えて、高学年になるにつれ、子どもにスマホを持たせるご家庭が増えるようです。
もう一つ。スマホに低価格プランが出てきたことも、こうした傾向に拍車をかけています。子どもが持つ携帯端末といえば、少し前までは「キッズケータイ」が主流でした。インターネット利用など機能に制限があり、子どもの居場所を探すサービスをつけても月額利用料は800円ほど。子どもの安全を守るツールが比較的安く利用できます。料金を抑えるという点では、「格安スマホ」と呼ばれる仮想移動体通信事業者(MVNO)のサービスもありますが、2021年に入り、さらに状況が変わりました。大手携帯電話会社が手続きをオンラインとする従来より安価な新料金プランを打ち出したのです。データ通信料を小容量として月額利用料が1000円を切るようなプランも出ています。
私はスマホなどでの通信費にお金をかけることは、あまり意味のないことだと考えています。目的は連絡ツール。今は電話での会話も少ないでしょうし、メッセージをやりとりできれば十分という人も多いです。もちろん通話が多いという人もいらっしゃいますが、自分の状況に合わせ、ブランドにこだわらず、安いプランを利用できるとよいのではないかと考えています。高いプランを使うよりも安いプランを使い、浮いたお金で家族でおいしい食事を楽しむなどした方が良いと思うのです。
そこで今回は、格安スマホを中心に、子どもにスマホを持たせるときには、どのようなことに気をつけるとよいか、お伝えしたいと思います。
子どもには、スマホをどんな風にもたせる?
先ほども述べたように、スマホの料金の選択肢はかなり広がりました。親子で使い方のルールだけしっかりと決めておき、それを守りながら使用してもらう分には、非常に良い状況です。
以前は格安スマホでデータ通信のみの契約として利用料を抑える例がみられましたが、今は通話ができるプランでもかなり安い。今まで緊急電話などができないことを不安に思っていた方も、これなら安心です。
格安スマホの利用料の例を挙げますと、「データ通信2~3ギガバイト(ギガは10億、GB)に音声通話ができる」という契約で800~900円ほどという例も。通話料金は別となりますので、特別な通話以外は無料の通話アプリを利用すると決めておくと、ほぼ基本料金で使うことができてしまいます。かなり使いやすくなりました。
端末も親のお下がりや中古ショップで購入したもので大丈夫です。格安スマホでは、キャンペーンとして事務手数料などの初期費用が掛からない会社もあります。このため、あまり費用をかけずにスマホを持たせることができます。
子どもが格安スマホを使う、メリット・デメリット
以上から、子どもが格安スマホを持つメリットは「導入や毎月の利用金額が安い」ということが1つです。他には、
・位置情報サービスやアプリを利用して、安全を見守れる
・緊急通報(110番、119番など)が利用できる
・家族間の緊急連絡ができる
というようなメリットもあります。
緊急通報については、データ専用SIMでは利用できません。IP電話(050Plusなど)に契約のうえ、警察署、消防署などの電話番号を登録しておく必要があります。緊急通報のための専用アプリ、警察なら「緊急通報ナビ」、消防なら「火事・救急通報ナビ」を入手しておいてもよいでしょう。ですが、IP電話にも月額料金が数百円かかりますから、それならはじめから通話ができる「音声SIM」の契約にしておくほうが安上がりな場合も多いと思います。よく比較検討してみましょう。
次に、デメリットとしては、格安スマホに限らずスマホ全体にいえることですが
・SNSでの投稿から、いじめに発展する可能性
・個人情報流出、高額請求、性的被害などのネットトラブルが起きる可能性
・勉強をしなくなり学力に影響が出る
・「スマホを手放せない」など依存気味になる
というようなことが考えられます。利用を始めるには、これらのトラブルを防止するために、利用時間、利用場所をはじめ、個人情報を書き込まない、他人の悪口を書かない、知らない人にコメントしない、アプリをダウンロードするときは親の許可を得るなど、ご家庭なりのルールをしっかりと決めておきましょう。
利用料金が高額になることはないかと心配される方もいます。ただ、格安スマホであればキャリア決済はできませんし、データ通信は上限が決まっているプランを使えば、通信料がかかりすぎるということもありません。アプリへの課金を防止し、電話機能による通話も必要時以外にしないルールをつくれば、極端に高額になることはないでしょう。
子どもは、どのようにスマホを使っているのか
では、スマホを与えられた子どもは、スマホを何に使っているのでしょうか。
内閣府が公開している「青少年のインターネット利用環境実態調査」 (20年度)によると、利用内容は
1.動画視聴(ユーチューブなど) 81.7%
2.コミュニケーション(メール・SNSなど) 80.0%
3.ゲーム、音楽視聴 それぞれ70%強
4.情報検索 63.2%
5.勉強・学習・知育アプリやサービス 42.5%
となっています。これらの割合はキャリアのスマホ、格安スマホなど、どの端末を使っているかで多少の差がありますが、多くは楽しみに使われているようです。
子どももスマホを持つということは、必ずしも良い面ばかりではなく、心配される点も多いかと思います。ですが、利用料金も下がり、より使いやすくなったスマホは、離れている子どもが困った時に、オンラインで顔を見ながら話すことができるなど、子どもの状況を把握するのに非常に便利であるとも思います。
利用をお考えの方は、利用料もそうですが、メリット、デメリットを考えながら比較し、納得して決められることをおすすめします。

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