米国株ETFの魅力とは 投資信託とどう使い分ける?
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A. ETFは余裕資金があり、為替リスクにも対応できる「投資中級者」におすすめ
トクニャン(以下、トク) お得情報好きなネコ、トクニャンだニャ。米国株式市場の指数が最高値なんてニュースをよく聞くニャ。トクニャンの友達も「米国株ETF」でもうかったとか。よく分かんニャイから、楽天証券経済研究所の篠田尚子さんに、教えてもらっちゃお~っと!

篠田(以下、篠) トクニャンは、そもそも「ETF」って、どんなものか知っていますか?
トク 投資信託みたいなものだって聞いたニャ~。
篠 ETFは「EXCHANGE TRADED FUND=上場投資信託」の略で、一般的な投信との違いは「上場している」点。市場でリアルタイムに売買するため、株式同様、証券会社を通じてのみ購入できます。一方、投信は1日1回「基準価額」が決まり、銀行や郵便局、証券会社などの「販売会社」から購入します。また、差はなくなってきているものの、ETFは一般的に、保有期間中の手数料である信託報酬が、投信より安く設定されています。
トク ETFには、どんな種類があるのかニャ?
篠 日経平均株価やS&P500など国内外の株式指数をはじめ、債券やREIT(不動産投資信託)、金のようなコモディティー(*1)の指数に連動するものなど、多彩な商品があります。
*1 商品先物市場で取引されるエネルギー、貴金属、穀物など
トク 指数に連動するところは、インデックス型投信と同じなんだニャ。
篠 ETFにも、国内の金融商品で組成され、日本の金融商品取引所に上場している「国内籍ETF」と、海外で組成された「外国籍ETF」がありますが、今回トクニャンが知りたいのは「外国籍ETF」ですよね。
トク そう、海外のETF! 米国株が盛り上がっているけど、いきなり個別株はハードルが高いから、まず分散投資できる「米国株ETF」から挑戦してみたいんだニャ~。でも、インデックス型投信と、どう使い分ければいいか分からないニャ……。
ビギナーは投信積み立てレベルアップにETFを
篠 投資のスタンスや目的にもよります。「相場に一喜一憂せず長期投資したい」なら、一般的な投資信託がおすすめ。S&P500に連動するインデックス型投信などを毎月購入すれば、少額から米国経済全体の成長に投資することができます。
トク 「ほったらかし投資」には投信のほうがいいんだニャ。
篠 そうですね。ETFの場合、市場でリアルタイム売買できることから、積み立てではなく、スポットでの購入が基本となります(*2)。また、海外の取引所に上場しているETFは、米国ならドルなど現地通貨での取引になるため、購入時や売却時の為替レートに留意が必要。手持ちの外貨を使えるので、外貨預金の満期金など「塩漬け」状態の外貨を有効活用するために海外のETFを購入するという人もいらっしゃいますよ。
*2 自動積み立て投資ができるかは、証券会社によって異なる

トク 米国株ETFの銘柄を投資の目的別に知りたいニャ!
篠 米国市場全体に投資したいなら「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」、分配金を重視するなら(*3)「バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)」などが代表的。また、国内株ETFとは異なり、米国株ETFは「アクティブ型(積極運用型)」の運用が認可されているのも特徴。ESG銘柄で運用する「iシェアーズMSCI米国ESGセレクトETF(SUSA)」や革新的な企業を組み入れた「Direxionデイリー ムーンショット・イノベーターズETF(MOON)」など、テーマ型の銘柄も米国ETFならでは。ただし、取り扱いは一部のネット証券のみなので、ご注意くださいね。
*3 ETFは投信のように分配金を自動で再投資できない。分配金を再投資して「複利の効果」を享受するなら一般的な投信、分配金を受け取りたいならETFと使い分けよう
この人に聞きました

(取材・文 澤田聡子、イラスト おおの麻里)
[日経ウーマン 2022年2月号の記事を再構成]
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