ふるさと納税、コロナ下は年収減注意 寄付上限に影響
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A. 「応援消費」にもおトクな返礼品あり! 自治体の「コロナ支援」への寄付も増加。年収減の場合は思わぬ自己負担増にも注意
トクニャン(以下、トク) お得情報好きなネコ、トクニャンだニャ。年末までにやっておきたいこと……それは、ふるさと納税! 今日は、ふるさと納税情報サイト最大手の「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク広報の飯田佳菜子さんに、ポイントを教えてもらうニャン!

飯田(以下、飯) 新型コロナウイルス禍による「巣ごもり需要」や、生産者などへの応援消費という側面から、2020年度のふるさと納税の寄付額は約6725億円と過去最高に。注目度もますますアップしています。トクニャンは、これまで「ふるさと納税」をしたことはありますか?
トク 実は未経験なんだニャン……。
飯 「ふるさと納税」は自分が応援したい自治体に寄付ができる制度です。上限は決まっていますが、寄付をした分、税の控除を受けられます。自己負担金2000円で、自治体から「返礼品」を受け取ることができるのも魅力。自治体での寄付金の使い道を選べるというメリットもあります。
トク 控除の上限額はどうすれば分かるのかニャ?
飯 年収や家族構成で上限額は異なりますが、ふるさとチョイスのようなポータルサイトでシミュレーションできます。例えば単身で年収300万円なら、年間約2万8000円。ただし、今年の予想年収で試算するため、年末になって想定よりも年収が少ないと、実際の上限額は下がってしまうことに。上限額以上に寄付をすると、超えた金額はすべて自己負担になります。
「ワンストップ特例制度」か確定申告で税金の控除を
トク 次は、寄付先選びだニャ!
飯 返礼品の定番人気はお肉やフルーツ、海鮮などの特産品。最近では、コロナ禍で苦しむ生産者や事業者の応援企画もあります。「訳あり」などのキーワードで検索すると、おトクな返礼品が見つけられますよ。個人的によく選ぶのは、職人の技が光る包丁や器などの日用品ですね。また、ワーケーションやアクティビティーなどの体験型も増えていて、「キャンピングサウナバス24時間利用チケット」(北海道・当麻町)のような変わりダネもあるんですよ。

トク へえ~。返礼品って「モノ」だけじゃないんだニャ~。
飯 使い道から寄付先を選ぶのもひとつの手。返礼品なしで地震や豪雨被害などの「災害支援」として寄付することも可能です。税金の使い道を直接指定できる「ガバメントクラウドファンディング」も注目されており、20年からは自分が住む自治体の新型コロナ対策に寄付する人も増えています。
トク 社会貢献もできるんだニャ。
飯 自治体を選んで決済すれば寄付は完了。自治体からは「寄付金受領証明書」が送付されます。住民税などの控除を受けるには確定申告をするか、年末調整をしている会社員で1~12月に寄付した自治体が5つ以内なら、確定申告が不要の「ワンストップ特例制度」も使えます。ただし、寄付のたびに「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を、期日(*1)までに自治体に郵送する必要があります。
*1 申請書は寄付をした翌年の1月10日に自治体必着のため、年末に申し込む場合は注意が必要
トク 会社員でも6自治体以上に寄付した人、医療費控除や住宅ローン控除を受ける人は確定申告しなきゃだニャ。面倒…。
飯 実は21年分の確定申告から、手続きが簡単になるんです。これまでは寄付ごとの「寄付金受領証明書」の提出が必要でしたが、寄付を申し込んだポータルサイト(*2)でダウンロードする「寄付金控除に関する証明書」1枚で申告可能に。何枚も送られてくる証明書を保管して、1枚ずつ貼りつけたり、何度もデータを打ち込んだりする手間がなくなるんですよ。
*2 国税庁に認定された特定事業者のみ。国税庁のホームページに事業者一覧がある。証明書1枚で済ませるには、すべての寄付を同じポータルサイトで申し込むことが必要
この人に聞きました

(取材・文 澤田聡子、イラスト おおの麻里)
[日経ウーマン 2021年12月号の記事を再構成]
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