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新料金は月2480円に 携帯大手「それでも増益」の目算

ソフトバンクはKDDIに対抗して500円引き下げた
日経ビジネス電子版

ソフトバンクが3月に始める月20ギガ(ギガは10億)バイトの新プランの基本料金を2480円(税抜き)に決定した。KDDIと同じ料金への引き下げには、これ以上の消耗戦を避ける狙いも透ける。既存プランから6割超の大幅値下げを余儀なくされた格好だが、携帯大手3社に悲壮感はない。

ソフトバンクは3月17日に始める通信容量20ギガバイトのオンライン申し込み専用プランを「LINEMO(ラインモ)」と名付け、月額2480円で提供すると発表した。当初はNTTドコモの「ahamo(アハモ)」と同じ2980円で提供する計画だったが、遅れて「povo(ポヴォ)」を発表したKDDIに合わせて音声通話料金を切り離し、500円引き下げた。

ただし、楽天モバイルや仮想移動体通信事業者(MVNO)が提示した「20ギガバイトで月1980円」に対抗するような値下げには踏み込まなかった。携帯大手3社による消耗戦を避けたようにも見える。菅義偉政権の強い要請で起こった値下げドミノは、ここが当面のゴールになりそうだ。

これまでの大容量プランと比較すると6割超の大幅値下げとなる。それでも、各社に悲壮感は見られない。ドコモの井伊基之社長は「アハモの先行エントリーに想定を大きく超える100万の申し込みが集まった」とホクホク顔。2009年1月以来12年ぶりに番号持ち運び制度(MNP)による転入が転出を上回り、顧客流出に歯止めをかけられたという。

新料金プラン開始後も各社は高い営業利益率の維持を目指す。KDDIの高橋誠社長は1月末の決算会見で「(ポヴォによる)通信料の減収をコスト削減などでカバーし、来期も増益を狙う」と宣言。4月にソフトバンクの社長に就任する宮川潤一氏も「法人事業などあらゆる手段で稼ぎ、増益の流れは変えない」との決意を示した。

20%近い営業利益率を維持してきた。携帯大手3社の営業利益率の推移

顧客基盤の維持を優先

各社の自信の裏側にあるのは、大手3社で国民を分け合う構図を維持できる公算が大きくなったことだ。21年春からMNP手数料が撤廃されるが、SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは「3社がほぼ同水準のプランを用意したことで、乗り換え競争は起きにくくなった」と指摘する。

ソフトバンクのモバイル通信料以外の収入が7割近くに達するなど、各社はコンテンツや電子商取引(EC)、金融決済など通信以外のサービスで稼ぐ方向に進んできた。政権からの値下げ要請に応じつつ、安定的に稼ぐために欠かせない巨大な顧客基盤の維持に成功したといえる。

値下げによる「痛み」も限定的となりそうだ。新料金プランに移行する利用者の割合の見方はアナリストによってばらつくが、菊池氏は「2~3年で10%程度にとどまる」と低めに予想する。メールアドレスや留守番電話機能がないなど使い勝手が大きく変わるためだ。仮に移行が10%程度なら減収影響は年間数百億円の水準。1兆円前後の営業利益を上げる各社への影響はそれほど大きくない。

結局、割を食うのは競争促進の役割を期待されて参入した楽天モバイルやMVNOだ。楽天は「月1ギガバイト以下なら月額料金無料」という捨て身の戦略を打ち出したが、それでも大手から顧客を奪えるかどうかは不透明。携帯電話事業に進出した意義すら問われかねない情勢だ。

(日経ビジネス 佐藤嘉彦)

[日経ビジネス電子版 2021年2月24日の記事を再構成]

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