豪セブン、コーヒー価格2倍 ワンコインにこだわる?

オーストラリアのコンビニ「セブン―イレブン」では、日本と同様いれ立てコーヒーが幅広い層の人気を集めている。カフェ文化が浸透しているシドニーの街中でもセブンのコーヒーカップを手にする人を見かける機会は多い。人気の一番の理由はその安さだ。レギュラーサイズなら1豪ドル(97円)で、通常5ドル前後するカフェと比べると格安だ。
そのセブンの人気商品の値上げが豪州で大きな話題となっている。10月4日からの新価格が2豪ドルとなるためだ。豪州の物価水準から考えると2豪ドルでも割安だが、一気に2倍に引き上げる大胆な価格戦略にSNSは騒然となった。
豪セブン―イレブンのアンガス・マッケイ社長兼最高経営責任者(CEO)は「過去10年間我々が行ってきたコスト上昇分の吸収はもはや不可能だ」と理由を説明する。世界を襲うインフレの波は豪州にも打ち寄せ、4~6月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で6.1%上昇している。
日本でもセブン―イレブン・ジャパンが「セブンカフェ」の商品を7月から値上げしたが、上げ幅は約10~20%にとどまる。豪州のインフレを鑑みても2倍への引き上げはやや不可解だ。
ある豪州人は2倍値上げの理由を「2豪ドルなら1豪ドル同様、いずれもワンコインの支払いで済むメリットがあるからでは」と分析する。1割の値上げで1.1豪ドルなどとすると店舗側は釣り銭のために大量の小銭が必要になる。
豪州では、1豪ドルと2豪ドルの硬貨は金色で「ゴールドコイン」と呼ばれる。キャッシュレスの支払いが進んだ現在でも厚みのあるゴールドコインは存在感がある。豪セブンも値上げ発表時「我々のレギュラーコーヒーはまだゴールドコイン1枚分の価格だ」と打ち出した。
豪州でセブンの1豪ドルコーヒーと並ぶお値打ち商品はマクドナルドのソフトクリーム「ソフトサーブコーン」だ。各店舗が値決めするが、0.8豪ドル(77円)が中央値という。インフレ終息が見えぬ中、こちらの価格にも注目が集まる。
(シドニー=松本史)
[日経MJ 2022年9月19日付]
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