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外食不況にあらがうマクドナルド 密回避で営業最高益

店舗ではドライブスルーの車列やデリバリーのバイクが目立つ
日経ビジネス電子版

コロナ禍に苦しむ外食大手を尻目に、日本マクドナルドホールディングス(HD)の2020年12月期は営業最高益となった。ドライブスルーやデリバリーといった幾重にも施した密回避策が奏功し、客数減を客単価のアップで補っている。地力もコロナ対策も万全に見える好業績。だが、先行きに死角がないとは言い切れない。

日本マクドナルドホールディングスが2月9日に発表した2020年12月期の連結営業利益は312億円と前の期比11.7%増え、過去最高となった。直営店とフランチャイズチェーン(FC)店の売り上げを合算した全店売上高も過去最高で5892億円と7.3%増えている。

既存店売上高は6.8%増。牛丼チェーンの吉野家や松屋の既存店で売り上げが減少していることと比べても強さを見せつけた。オンライン会見でサラ・カサノバ社長兼最高経営責任者(CEO)は「絶えず変化する消費者のニーズに応えたい」と話した。

マクドナルドも客数は他業態と同じように減少傾向にあった。店内飲食の休止期間を含む4月から7月の客数は13.2~20.7%減に落ち込んでいる。ただ、この間の客単価は16.4%から最大45.3%上昇。通年でも16.7%伸びた。

単価を押し上げたのは一度に複数人の会計を行うファミリー客だ。ドライブスルーやデリバリーなど他の客との接触を避ける販売手法が支持された。

1977年にドライブスルーを始めたマクドナルドにはノウハウの蓄積がある。「ドライブスルーを通る車は1時間当たり90台ほどだが、他社ではこうはいかないだろう」といちよし経済研究所の鮫島誠一郎氏は分析する。

注文から決済までウェブ上で行うモバイルオーダーも2924店(2020年12月末)のうち、約2800店で取り入れている。ドライブスルーの利便性を高めようと20年4月末にはスマホで注文・決済後に従業員が駐車場で商品を手渡ししてくれる「パーク&ゴー」を始めた。年内300店としていた目標を前倒しし12月末までに約800店で導入した。

フットワークの軽さも勝因

モバイルオーダーは他社も導入している。一方、マクドナルドはドライブスルーやパーク&ゴー、テークアウト、自社デリバリー、ウーバーイーツや出前館経由のデリバリーといくつもの密回避策に同時に取り組んだ。ドライブスルーレーンが渋滞し赤いバイクが次々に配達に向かう。ウイルス対策に取り組みながら販売している様子が目に見える効果は大きい。

モバイルオーダーは20年1月に全国展開し、パーク&ゴーも最初の緊急事態宣言からひと月足らずで始めた。かねて準備を進めていたものだが、新常態に合致するとみるや投資を加速して全国に浸透させ、他業態を引き離した。

ファミリーレストランや居酒屋が大打撃を受けたのに対し、ハンバーガーは食べたいという意志が明確な「目的来店」客をつかまえている。今後も有利な立ち位置にあると外食業界では受け止められている。

では、マクドナルドに死角はないのだろうか。20年12月期の决算発表では、直営店売上高が2.1%減っていた。都心に多い直営店では、コロナを跳ね返すほどの力強さは見えていない。

郊外のファミリー層の消費も、一巡した後に次の手を打たなければ勢いは鈍るだろう。すかいらーくグループなど防戦一方だった外食大手はデリバリー店を増やし、持ち帰りメニューの開発に力を入れて対抗する。幾重もの安全対策で客を呼び込んだマクドナルド。だが、コロナ第2幕で勝ち切れるかどうかはまだ見渡せない。

(日経ビジネス 神田啓晴)

[日経ビジネス電子版2021年2月16日の記事を再構成]

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