ドコモ、時速290キロで誤差10センチ 測位の実験成功

NTTドコモは14日、高精度GNSS(衛星を用いた測位システムの総称)を活用し、最高時速290キロメートルで走行中の車両の位置を誤差約10センチメートルで測位する実証実験に成功したと発表した。現在位置の厳密な把握が必要となる自動車や鉄道の自動運転への応用を目指す考えだ。
実証実験は12月4~6日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催された「2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権第5・6戦」で、ドコモがメインスポンサーを務めるレーシングチーム「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」とNTTと共同で取り組んだ。
LTE回線で接続したGNSS受信機を同チームのレーシングカーに搭載し、走行中の位置をリアルタイムで測位した。サーキット内に設置されたタイム計測用ビーコン通過位置とGNSS受信機の測位データを比較したところ、約10センチメートルの誤差で測位できたという。走行時間の96%で高精度測位が可能なことも分かった。

測位データから得られる精密な走行軌跡はレース戦術にも活用できる。同チームの村岡潔氏は「2人のドライバー(山本尚貴選手と福住仁嶺選手)で異なるコース取り(走行軌跡)をそれぞれ可視化できるため、レース後にどちらのコース取りが良かったかという気づきにつながる」とコメントした。ドコモは同チームで高速移動時の通信品質向上など、様々な実証実験に取り組んでいる。
(日経クロステック/日経コンピュータ 清嶋直樹)
[日経クロステック 2020年12月14日掲載]
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