2021秋冬はニット重ね着 ストレスフリーにきちんと感
宮田理江のおしゃれレッスン

ニューノーマル生活が続き、ストレスフリーで過ごしやすい服が支持を広げています。秋冬に出番が増えるニットは、伸縮性に富み、体を締め付けないから、着心地が楽。冬に向けて提案が相次いでいるのは、ニットアイテム同士を重ねる「ニットonニット」の装いです。ニット同士を重ねてもエレガントに映るデザインが登場しているのが新しい流れ。見た目は「きちんと感」がありながら、着ている本人はストレスフリーというところも重宝します。日本でも人気のイタリアブランド「FABIANA FILIPPI(ファビアナフィリッピ)」の2021-22年秋冬コレクションを参考に、大人が着たくなる新しい「ニットonニット」の取り入れ方をつかんでいきましょう。
ボトムスとの異素材ミックスでコントラストを演出

ニットの持ち味はソフトな風合いにあります。同じ素材で編み上げたニットトップス同士の重ね着は、いっそう柔和な表情に。ボトムスに異素材を迎えれば、ニットの質感が引き立ちます。
編み目の畝(うね)がきれいなケーブルニットの半袖トップスを、同じ毛糸で編んだタートルネックセーターに重ねました。Vネック部分にタートルネックがうまく顔を出して、立体的な見え具合に。ゆったりとしたニットをベストのように重ねるのが落ち感を演出できるポイント。ボトムスに配したのは、ファビアナフィリッピの代名詞的な六角形の網目で構成するチュール素材で仕立てた、透けるロングスカート。はかなげで繊細なチュールの風情がニットレイヤード(ニットの重ね着)のあたたかみを際立たせています。

異素材ミックスのよさは、装い全体のムードが奥行きを深めるところにあります。ならば、ニットウエアと引き合わせるパートナーは風合いがほとんど正反対のレザーがうってつけ。「ニット×レザー」を上下で組み合わせると、今年らしい秋冬ルックが手軽に決まります。
のどかなシルエットのプルオーバーに、同じニット素材のブルゾンを重ねて、「ニットonニット」の着こなしに整えました。コーディネートの決め手は、レザースカートでつやめきを加えたところ。ニットとレザーが互いを引き立て合う関係に。ボトムスに濃いめの色を選べば、腰から下が引き締まって映ります。足元は脚光を浴びているコンバット系ブーツでタフに決めました。
お仕事ルックにも生かせる新感覚のニットセットアップ

ニットの出番が広がってきました。これまではカジュアル使いのイメージが強かったのですが、近ごろは「ほぼスーツ」のような上下セットアップが登場。いわゆる「ニットアップ」です。全体の統一感があり、お仕事ルックにも重宝します。
ボーダー柄のような編み地模様が印象的なニットのワンピースに、ロングカーディガンを重ねました。スーツの場合はジャケットとボトムスという決まり事がありますが、ニットアップは組み合わせの幅が広いのも魅力になっています。太めのベルトでウエストマークして、めりはりをプラス。さらに、足元はロングブーツで引き締めています。

冬本番のキーアイテムになるコートも、ニットで仕立てるようになってきました。軽くてソフトな着心地がニットコートのよさ。セーターやワンピースなどのニットウエアと組み合わせた「ニットonニット」も組み立てやすくなっています。
穏やかな雰囲気の柄が編み込まれたニットコートは、見慣れた無地のコートよりもおしゃれ心を表現できるアウターです。同じ編み地のワンピースにロングコートを重ねて、ニットアップならではの「きちんと感」を高めました。ハイネックの大襟が立体感を印象づけて縦長効果まで発揮。カッチリしたロングコートに比べ、優しげなキャラクターを演出しやすいのもニットを取り入れたくなる理由です。
パンツルックを引き立てる、ニットの重ね着使い

パンツルックをこなれた着こなしに仕上げるうえでも、ニットは頼りになります。上半身にニットを重ね着すれば、ボリュームが出るから、パンツ部分がすっきり映る効果が見込めます。マニッシュなパンツ姿を、穏やかに着地させてくれるのも「ニットonニット」ならではの魅力です。
優美に肩を覆うケープは、クラシックトレンドに乗って復活を果たしました。ニットで編み上げたケープライクなトップスに、フリンジ(短冊状の飾り)をぜいたくにあしらって、動きを加えています。主張も量感も十分だから、プレーンな白パンツにも表情が備わりました。凝ったディテールのニットウエアを装いのキーピースに据えるスタイリングは、秋冬ならではのおしゃれの幅を広げてくれます。

全身を白でまとめる「オールホワイト」は装いが暗くなりがちな冬に生かしたい着こなしです。柔和なニットはホワイトと好相性で、清らかさやほっこり感を引き立ててくれます。ピュア感や幸福ムードも宿す色として、ウィンターホワイトは冬本番に好まれる色です。
首から離れて襟が立つオフネックのタートルは朗らかなたたずまい。トグルボタン付きのニットカーディガンを重ねて、上半身を包み込むような、癒やしムードの着映えに整えました。異素材の白パンツがいっそうシャープに映っているのも、「ニットonニット」のおかげ。ニットの編み地とのずれ感が際立つよう、表面がスムーズなパンツを選ぶのがホワイトルックに動きを添えるコツです。
「着る癒やし」の魅力 意外な着やせ効果も
「ファビアナフィリッピ」は1985年にイタリアで創業して以来、上質素材へのこだわりと、職人技によるメイド・イン・イタリーを貫いてきました。2021-22年秋冬はニットウエアを主役に位置づけ、エレガントで立体的な装いを提案。サステナビリティー(持続可能性)を意識して、オーガニックコットンのアイテムを増やし、100%天然カシミヤのコレクションも発表しています。
ニットならではのやわらかい素材感はリラックス気分に導いてもらえる点でも、何かとストレスを感じがちな今の状況になじみます。重ね着で取り入れれば、朗らかな着映えに整ううえ、量感のおかげで自然な着やせ効果も期待できそう。まとまりのあるニットアップはお仕事ルックにも生かしやすいから、この秋冬は上質なニットの出番を増やしてみませんか。
ファビアナフィリッピ
https://aoi-net.jp/item?brand_id=1

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