洗面所を家族で整理 使う頻度・人で分けて定位置決定

家族で暮らしていると、物の片付けを巡って言い争いになることがある。互いにモヤモヤしないように、皆が自然ときれいに使うようになる工夫を考えたい。始めやすいのが洗面所だ。
なぜ洗面所なのか。筆者が考えるに、思い出の品が比較的少ないうえ、使用頻度や期限が明確で分類しやすい物が多いからだ。家族全員が毎日何度も出入りする場所でもあり、皆が平等に片付けた後の達成感を得られるだろう。所要時間はとりあえず1時間半ほどを想定。イベント感覚で取り組んでみよう。
まずはリビングルームなど別の場所にシートを敷いて、洗面所に置いている物をいったんすべて出して並べてみよう。とりあえず紙袋や洗濯かごなどに入れて運ぶ。棚やカゴに収納している物も、その場で整理はしない。とにかく「全部出し」してみる。
リビングに持ち込んだ物は「どれくらいの頻度で使っているか」「誰が主に使うか」を基準にグループ分けし、シートの上に並べていく。
愛着のあるなしはこの際考えない。使用頻度は直近の実績による。最近使ったのが「きょう」「今週」「今月」「それよりも前・それ以下の頻度」の4グループに大まかに分けるのがよいだろう。毎日使う歯磨き粉であっても、ストック品は今の時点では使っていないので、「それ以下の頻度」に分類する。
次に誰が使っているか。ボディークリームをはじめ家族で共有して使っている物の場合、最も使用量の多い人を代表管理者としておこう。化粧品のサンプルや抽選会でもらった加湿器といった「なんとなく持っているが、誰も使っていなかった物」は別にひとまとめにしておこう。
分類し終えたら、不要な物は手放す。残った物について定位置を決めていく。ここで大切なのが物を洗面所に戻す前に、収納スペースをマンションに倣って「専有部」と「共用部」に割り振ることだ。マンションのロビーや廊下、バルコニーなど共用部では原則として通行を妨げるような荷物は置かないだろう。同じように誰か1人が使う物は共用部には置かない。
洗面所で考えると、例えば鏡の裏に5段の収納棚が、洗面台の下にも収納があったとしよう。鏡の裏の下から1段目は子ども用、2段目は妻用、3段目は夫用、4~5段目と洗面台の下は共用といった具合に誰の場所か決める。
スペースの割り振りはそれぞれの持ち物の量にかかわらず、いったん均等に定めるのが重要だ。そうはいっても収納しきれないとなれば、家の他の場所でスペースをやりとりするのはどうだろう。洗面所は化粧品の多い人に譲る代わりに、本棚は蔵書が多い人が広めに確保する。家全体で収納場所が平等になるようにバランスを取るのだ。
収納場所が定まったら、それぞれの所有物を専有部に置いていく。使用頻度の高い物から定位置を決めるのが鉄則だ。とりわけ週に1回以上使う物は余裕を持って取り出せるようにしたい。あまり使わない物と一緒にギュウギュウに詰め込むと、出し入れがおっくうになる。結果として出しっぱなしにしてしまい、なかなか片付かない。

もし入りきらない物があったら、別の場所、自室や押し入れなどに移動しよう。
洗面台の上は全て共用部と考えて、出しっぱなしの物がないようにしたい。見た目もすっきりしてまるでホテルのよう。気分一新、掃除する手間もグッと減らせるだろう。
「割れ窓理論」という言葉がある。割られた窓ガラスを1枚そのままにしていると、さらに他のガラスが割られて、やがて街全体の環境が悪化するという考え方だ。家族の誰かが物を出しっぱなしにしていれば、自分も片付ける気がなくなる。常にきれいな状態を保つべく努めたい。
手の届く位置にクロスをかけておけば、使用後にサッと水気を拭き取れる。家族皆の習慣にできれば理想的だ。
洗面所以外でも、(1)物を全部出す(2)使う頻度と人で分類(3)定位置を決める(4)使ったら戻す――というサイクルを繰り返せば、片付けを進めやすいはずだ。洗面所でうまくいったら、次は台所、その次は本棚と範囲を広げていくのはどうだろう。週末の家族の定例行事として、好きな音楽をかけるなどしながら取り組んでみてほしい。
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在庫多すぎ? 手放せないか点検

洗面所に置く化粧品や洗剤をたくさん買い置きしている人も多いだろう。ただ化粧品は使用期限がある。品にもよるが未開封で3年、開封後は半年から1年が目安とされる。シャンプーや化粧品のサンプルをもらったら、時期ごとに分けて保管し、期限が過ぎる前に使い切ろう。洗剤などの備蓄も目安は2週間分。在庫を抱えすぎず、適正量を保つようにしたい。
好みに合わないブランドの化粧品はフリマアプリで売ったり、古いタオルは雑巾にしたりしてもよい。今必要な物以外は手放し、使いやすい空間を目指そう。
(整理収納アドバイザー 米田 まりな)
[NIKKEI プラス1 2022年12月3日付]
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