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求むプロ人材 パルコは月イチ出社で30万~50万円

日経ビジネス電子版

パルコなど50以上の企業が、期間限定で「プロ人材」を雇い入れる採用ポストを公表した。優秀な人材にスキルを生かしてもらい、一企業に縛られず、複数企業に勤める働き方を提案している。50社が求めるのは終身で働く忠誠心より、即戦力だ。専門知識を持つ人材の活用策として定着するだろうか。

ミーティングはオフィスで月1回、そのほかはリモート、月額報酬30万~50万円、業務は新規事業(ヘルスケア)のマーケティング戦略立案で契約期間は3~6カ月──。これはパルコが募集する「プロ人材」の内容だ。書店大手の有隣堂はウェブマーケティング戦略を考える人材を月30万~50万円で募集中。ミーティングは週2~3回で、うち1回は出社。契約は6カ月という。

1月下旬、「日本の企業にプロ契約を」というプロジェクトに賛同した50社以上が一斉にプロ人材を募集し始めた。応募期間は2月下旬までで、3月下旬をめどにそれぞれ契約する。

企画を立ち上げたのは人材仲介サービス「CARRY ME(キャリーミー)」を展開するピース・トゥ・ピース(東京・港、大沢亮社長)。個人がスキルや能力を生かし、自由にキャリアを選択する働き方を目指すという。プロ人材は「専門知識やスキルを持ち、複数の企業と業務委託契約で働き、成果や業務にコミットする即戦力人材」と定義している。

日本企業で徐々に副業を認める動きが広がりつつある。だが副業はあくまで副業だ。本業で余った時間を使い、得意なスキルを生かすのが一般的だろう。

忠誠心か費用対効果か

今回のプロ人材募集の動きは一歩先をいく。個人が1つの企業に所属するのではなく、いくつかを掛け持ちして「プロ」として働く道を開くものだ。本業と副業があるのではなく、本業がいくつもあるイメージになりそうだ。

高いスキルを持つのに結婚や出産で仕事を辞めた女性や退職後の高齢者も、この仕組みならプロとして働けるかもしれない。リモートを活用すれば出社する負担も少ない。

企業側にメリットはある。福利厚生を含めた固定費や人材育成のコストを抑え、ピンポイントで今欲しい即戦力を獲得できる。長く働く「忠誠心」のある人より、費用対効果が明確な人材を好む傾向は強まっている。パルコの泉水隆常務執行役員は「新規事業立ち上げには社内にはない新しいスキルが必要。プロ人材は新規事業にとってはすごくいいシステムだ」と期待を寄せる。

CARRY MEの調査によると、企業に所属して副業や独立を考えながら踏み切っていない人、つまり潜在的なプロ人材は推定約300万人いる。彼らが適材適所で活躍できる場を提供できれば、日本の生産性は高まるに違いない。

課題はこうした予備軍が、本当にプロとしてやっていこうと決断できる環境づくりだろう。今回の人材募集も、3カ月や6カ月の契約が多い。多くの企業が賛同、参画し、働く選択肢を数多く提供しないと、1回は雇われてもその先の他の契約獲得が見えづらいままでは、個人はなかなかプロになる勇気が持てない。専門知識を持つ掛け持ち人材を狙う新たな雇用形態。活用する企業側の腕も重要になる。

(日経ビジネス 奥貴史)

[日経ビジネス電子版2021年2月3日の記事を再構成]

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