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「司法の危うさ」「ゆがんだ正義」問う 仏の法廷劇映画

映画「私は確信する」の場面(C)Delante Productions - Photo Severine BRIGEOT

実際の未解決事件を題材にした異色の法廷スリラー映画が日本公開される。フランス映画「私は確信する」(2月12日公開)だ。有罪となる証拠がなくても第2審まで進んでしまう司法のありようを問い、「きっと犯人に違いない」と思い込む普通の人たちのゆがんだ正義に切り込む。アントワーヌ・ランボー監督は「より広い視野で司法を見つめ直す映画だ」と話す。

3人の子がいる38歳の女性が行方不明となり、夫に殺人容疑がかかる。裁判で無罪となったが、検察が控訴。再び殺人罪に問われた。2000年に発生した「ヴィギエ事件」は、夫が映画ファンの大学教授だったことから「ヒッチコック映画マニアによる完全犯罪」などと刺激的に報じられ、当時多くの人たちの注目を集めたという。

ランボー監督自身はこの事件に「それほど関心があったわけではなかった」。だが、知人に誘われて裁判を傍聴し驚いた。「衝撃を受けた。有罪と噂されていたが、実際には証拠がなかった。司法は機能していないのではないかと疑った」という。「実際には推定無罪の原則は保たれ、機能不全とまではいえない。だが、噂に左右され、世論に動かされて2審までいった。そんな司法の機能に対して興味を持った」。裁判記録を読み、被告の家族らに話を聞き、映画化を進めた。

映画では被告の無実を信じるノラという女性が主要キャラクターとして登場する。無実を証明しようと奮闘し、行方不明の妻の愛人が怪しいと弁護士に何度も訴える。私生活さえ犠牲にするノラは善意の人に見えるが、被告を有罪と見る人たちと同じ「憎しみの目をしている」と弁護士から叱責され、根拠のない正義を非難される。「善意から出発しても悪に陥ってしまう。人間は『犯人がいない』という空白を嫌い、その穴を埋めるように罪人さがしをする。ノラは特別な人ではなく、私たちと同じ普通の人だ」と監督。根拠もなく確信してしまう普通の人の危うさを映画に込めたという。弁護士を演じた名優オリヴィエ・グルメの最終弁論シーンも見どころだ。

(関原のり子)

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