みなれた木々の 音楽・文芸批評家 小沼純一
[有料会員限定]
ずいぶん霜柱をみていない――。あ、かすかに福寿草(ふくじゅそう)の芽がでている。
ないものをおもいだすのと、あるものをみつけるのと、どっちが先だったかあとだったか。貯水槽には薄い氷がはっていた。
年末に剪定(せんてい)をしたので、正月の庭は殺風景にみえる。秋からはずっと柿の、紅枝垂(べにしだれ)の、藤の葉がおち、すこしでも掃き掃除をおこたると荒れたさまになるのだが、落葉に悩まされらないかわりに、目...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り1701文字